政府が新たなEV振興策を閣議決定
(タイ)
バンコク発
2022年02月22日
タイ政府は2月15日の閣議で、新たな電気自動車(EV)振興策の大枠を閣議決定した。国内に拠点を有する自動車メーカーなどが国内でEVを生産することを条件に、EVの輸入関税や物品税率を引き下げ、また、EVの販売に補助金を交付する。この振興策は2022年から2025年まで実施する予定で、詳細については追って公表する。
同振興策の主なポイントは以下のとおり。
1.補助金の交付:(1)乗用車の場合は電池容量に応じて1台当たり7万バーツ(約25万2,000円、1バーツ=約3.6円)、または15万バーツ、(2)ピックアップトラックの場合は同15万バーツ、(3)二輪車の場合は同1万8,000バーツを交付する。ただし、200万バーツを超える車両、15万バーツを超える二輪車については、補助金の対象外。補助金の交付期間は2022年から2025年まで。
2.物品税率の引き下げ:乗用車の物品税率を8%から2%に、ピックアップトラックは10%から0%に引き下げる。対象期間は2022年から2025年まで。
3.輸入関税の引き下げ:EV完成車の輸入関税について、輸入価格が200万バーツまでの車両は最大40%引き下げ、200万バーツを超え700万バーツまで車両については最大20%引き下げる。ただし、2025年までにタイ国内で規定台数のEV生産を条件とする。製品の主要部品を輸入するノックダウン方式であれば、これら主要部品の一部について輸入関税を免除する。対象期間は2022年から2023年まで。
閣議後の会見で、タナゴーン・ワンブンコンチャナ政府報道官は「政府はEV開発の方向性を示し、補助金と税制の両面からEV振興に対する短期的な支援策を決定した。輸入関税を引き下げる最初の2年間(2022年から2023年まで)で、国内におけるEVとゼロエミッション車(ZEV)を迅速に普及させるとともに、EV需要を創出し、投資を促す」と述べた。
また「2024年から2025年は、完成車や部品の輸入を縮小させ、EVの国内生産を促す。2030年までにタイの自動車総生産台数に占めるEV比率を30%に引き上げる国家戦略計画の実現には、今回のEV振興策が必要と認識している。また、EV産業の発展により、アジアのデトロイトとしての地位を強化する」と発言した。
(岡本泰、ナオルンロート・ジラッパパー)
(タイ)
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