ジョンソン英首相、ウクライナ大統領と会談、対ロシア協働で合意

(英国、ウクライナ、ロシア)

ロンドン発

2022年02月02日

英国のボリス・ジョンソン首相は2月1日、ロシアとウクライナの国境付近での軍事的緊張の高まりを受けてウクライナを訪問。ボロディミル・ゼレンスキー大統領と会談した。

会談後に発表された共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、英国はウクライナと協力し、地域の平和と安全を脅かし国際秩序を乱すロシアの侵攻の可能性に抵抗するとした。また、両国は、ロシアによるウクライナへのさらなる侵略は重大な戦略的過ちであり、厳しい人道的コストを伴うと警告した。両者はウクライナの安全保障と自衛能力の強化に向けて協働することに合意したほか、ウクライナのエネルギー安全保障の強化とグリーンへの移行に向けた取り組み支援に対するコミットメントを表明。ジョンソン首相は8,800万ポンド(約136億4,000万円、1ポンド=約155円)を拠出し、ウクライナのレジリエンス強化とエネルギー供給のロシアへの依存度低減を支援するとした。また両者は、特にウクライナ・英国戦略対話の枠組みを通じ、相互利益に資する分野で戦略的連携を深め、取り組みを続ける意向を再確認した。

ジョンソン首相は同日の記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「われわれは一連の制裁やその他の措置につき、ロシアがウクライナの領土にさらに一歩でも足を踏み入れた際に発動できるよう、他国とともに準備している」とコメント。ロシアが外交での解決を選ぶことが重要だとした。ジョンソン首相は同日、同会談の前に出されたプレスリリースで、今週(1月31日の週)にもロシアのウラジーミル・プーチン大統領らと会談を行いたいとしている。

これに先立つ1月30日に英国政府は、ジョンソン首相がNATOに対する支援提供を検討していると発表。欧州のロシアとの国境地域に対して大規模な英国軍の配置を検討しているとした。同首相は政府発表の中で抑止力と外交をうまく組み合わせなければ、ロシアとウクライナの両国で何千もの人命が失われると強調した。

翌31日には、エリザベス・トラス外務・英連邦・開発相が対ロ制裁の強化と対象拡大に向けた新法案を議会で発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。現在の法制ではウクライナの不安定化に関わる者のみを対象としているが、これをさらにロシア政府にかかわる個人・企業へ拡大する考え。また、今後2週間のうちにモスクワを訪問し、セルゲイ・ラブロフ外相と会談する考えも示した。

(山田恭之)

(英国、ウクライナ、ロシア)

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