ドイツ自動車産業連合会、2022年の世界の乗用車市場を前年比4%増と予測

(ドイツ、世界)

ミュンヘン発

2022年02月21日

ドイツ自動車産業連合会(VDA)のヒルデガルド・ミュラー会長は2月9日の記者会見で、2022年の世界とドイツの乗用車市場の見通しを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2022年の全世界の乗用車市場は2021年とほぼ同様の伸びとなり、前年比4%増の成長とした。これは、乗用車市場が過去最大となった2017年の水準を約13%下回る。

VDAの予測を地域別にみると、2022年の欧州は新型コロナウイルス感染拡大前の水準にあり、そのキャッチアップ効果もあって前年比5%増加する。そのうち、ドイツは7%増の280万台とした。また、米国と中国はそれぞれ2%増加する。2022年のドイツ国内の乗用車生産台数は13%増の350万台で、2020年の水準にとどまるとした。ドイツ国外の生産は5%増の990万台を予測している。

ミュラー会長は「自動車産業は構造転換を推進する。工場の新設や改築に対する投資を除き、2026年までに研究開発費として総額2,200億ユーロを投資する」と述べた。他方、ドイツにおける第5世代移動通信システム(5G)の普及や電動車用公共充電施設の設置は大幅に遅れていると指摘。ミュラー会長は電動車用公共充電施設の設置状況について、「今の設置のペースだと、2030年の充電施設数は約16万カ所にとどまる。それはわれわれが目指す100万カ所の6分の1にも満たない」と指摘した。再生可能エネルギーについても、ミュラー会長は「送電網の再編と拡張は次世代モビリティの実現の基礎的前提条件になる」とし、合成燃料(e-fuel)(注)や水素製造のためにも再生可能エネルギーが必要なため、需要増が今後続く点を指摘した。

欧州委員会が2月8日に公表した欧州半導体法案(2022年2月10日記事参照)について、ミュラー会長は「ドイツが将来も世界の自動車市場の先駆的存在であり続けるために、今、半導体工場の新設が必要」と指摘した。また、欧州とドイツにおける蓄電池の生産にも注目し、「計画を迅速に実行に移し、欧州の自動車産業の付加価値を維持することが重要」と強調した。

(注)発電所や工場などから排出された二酸化炭素と水素を合成して製造される燃料。再生可能エネルギーを活用して製造した水素を活用することで、乗用車の既存の内燃機関を使用したまま、カーボンニュートラルに近づけられるとされる。

(クラウディア・フェンデル)

(ドイツ、世界)

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