政府系ファンド、プラスチックリサイクル事業会社に出資

(フランス)

パリ発

2022年02月09日

フランスの公的投資銀行BPIフランスは1月31日、同行が運営する投資ファンド「製造プロジェクト企業ファンド(SPIファンド)」を通じ、プラスチックリサイクル事業を展開するXLリサイクリングに対し、同社の親会社のプラスチックフィルム製造リボーン・グループと共同で1,600万ユーロを出資すると発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

XLリサイクリングは使用済みプラスチックフィルムからバージンプラスチックに近い透明な再生プラスチックを生産する技術を持つ。同社は資本増強により2022~2023年に国内5工場の生産能力を拡大し、2026年までに使用済みポリエチレン・プラスチックフィルム4万トンの回収・再生を目指す。リボーン・グループのアルチュール・ルパルジュ会長は、ポリエチレン・フィルムは欧州プラスチック市場の30%を占めており、ペットボトル同様、アップサイクルの潜在需要は大きいと指摘している。

BPIフランスが運営するSPIファンドは2015年に、未来産業の育成に向けた政府の「未来投資計画」の枠内で8億ユーロの予算を充てて設立された。2021年までの6年間にエレクトロニクス、グリーンケミストリー(注1)、宇宙、バイオテクノロジー、ヘルスケアのハイテク分野で量産化を目指すイノベーティブな企業に総額5億5,000万ユーロを出資し、国内17カ所の工場建設と3,200人の雇用創出・維持につなげた。

リスクが高い分野への民間投資を喚起するため、SPIファンドは民間企業との共同出資の形をとり、出資率は25%~46%のマイノリティー出資に限られる。出資先には、ナノワイヤーLEDを開発・製造するアレディア、大型モビリティー向けバッテリー開発・製造のフォーシー・パワー、微細藻類製造のマイクロファィト、バイオテクノロジーのメタボリック・エクスプローラー、植物性タンパク質製造のプロレイン、ニュースペース(注2)のキネイスなど、スタートアップ企業が多い。2020年5月には三菱ケミカルホールディングスと共同で生分解性ポリマー製造のラクチップスに1,300万ユーロの出資を行った。

(注1)環境負荷の低減と経済性・効率性の向上などを目的とした化学技術、製品の開発の総称。

(注2)従来の政府系機関による航空宇宙産業以外の、ベンチャー企業や大手IT企業をはじめとする新興の民間企業が進める宇宙開発。

(山崎あき)

(フランス)

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