米財務省、ミャンマー国軍関係者7人と事業体2社を制裁対象に指定

(米国、ミャンマー)

ニューヨーク発

2022年02月01日

米国財務省は1月31日、ミャンマー国軍に関係のある個人7人および事業体2社を「特別指定国民(SDN)」に指定したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ミャンマーにおけるクーデター発生から1年を迎えるなか、英国、カナダと歩調を合わせた措置としている。

個人については、例えば軍事政権に直接関与している人物として、ティーダウー司法長官、トゥントゥンウー最高裁判所長官、ティンウー汚職防止委員会委員長の3人が、アウンサンスーチー氏を含む民主化の指導者らに対する政治目的の訴追を企てたことなどを理由に、指定されている。事業体については、KTサービス・ロジスティクスという港湾管理企業がミャンマー国軍への資金援助を理由に、陸軍兵たん局が軍事政権のために軍事装備品を調達したことを理由に、指定されている。SDNに指定された場合、在米資産の凍結や、米国人(注1)との資金・物品・サービスの取引禁止が科される(注2)。

バイデン政権は1月26日に、ミャンマーの軍事政権と関わりのあるビジネスに携わっている個人、事業者向けに注意喚起を目的とした勧告を発表している(2022年1月27日記事参照)。その中では、国有企業、宝飾・希少金属分野、不動産・建設事業、武器・軍事装備および関連活動、マネーロンダリング、児童・強制労働への関与について十分なデューディリジェンスを行うよう呼び掛けている。

アントニー・ブリンケン国務長官は制裁発表と同時に公開した声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、軍事政権がこれまでに約1,500人を殺害し、1万人以上の文官や市民活動家、ジャーナリストなどを拘束していると指摘し、「米国は国際的なパートナーとともに人権侵害に対処していく。また、軍事政権に対して暴力を止め、不当に拘束した全ての人々を解放し、無制限の人道的アクセスを許可するとともに、ミャンマーの民主化への道を回復するよう圧力をかけていく」としている。

(注1)米国市民、米国永住者、米国の法律に基づく、もしくは司法権がおよぶ域内に存在する法人(外国支所も含む)、もしくは米国内に存在するあらゆる個人を指す。

(注2)SDN指定を受けた個人が、直接・間接的に50%以上を所有する事業体も同じく制裁の対象。ただし、財務省が2021年3月25日に発行した、3種類の一般許可(General License)に該当する取引・活動は、それらが指定する要件の下で認められる。一般許可の内容は財務省のミャンマー制裁のページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます内のGENERAL LICENSESの項目を参照

(注3)これまで米政府の主な制裁の経緯は添付資料を参照。制裁対象に指定された個人・企業などについては、米財務省外国資産管理局(OFAC)のデータベース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、Country欄においてBurmaを選択し、Searchをクリックすることで確認が可能。

(磯部真一)

(米国、ミャンマー)

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