各種ワクチンやバイオ医薬品製造工場の起工式、国内とアフリカ地域への供給を見込む

(モロッコ)

ラバト発

2022年02月14日

モロッコの製薬産業は、化学品分野でリン酸肥料に次ぐ、国内で2番目に大きな産業で、アフリカ大陸でも有数の規模といわれている。政府は1月27日、各種ワクチンなどの製造拠点となるセンショー・ファーマテック(SENSYO Pharmatech)の工場起工式を、モハメッド6世国王出席の下、カサブランカ近郊のベンスリマン(Benslimane)で実施した。

センショー・ファーマテックは、モロッコ政府や国内大手金融機関の支援を受け、スウェーデンの医薬品受託開発製造企業(CDMO)レシファーム(Recipharm)との提携により設立されたモロッコの製薬会社で、今後5年間で国内とアフリカ地域向けに、新型コロナワクチンを含む複数のワクチンやバイオ医薬品の生産、供給体制を整備するとしている。投資額は2億ユーロとされる。生産開始は2023年を予定しており、2024年に1億セット以上のワクチン充填(じゅうてん)済み注射針セットの生産能力を整える計画だ。

今回の事業に参加するレシファームのマルク・ファンク(Marc Funk)最高経営責任者(CEO)は、自社ウェブサイトで、モロッコやアフリカ市場向けの事業にCDMOとして参画できたことを誇りに思うと述べ、モロッコ国内でのワクチン類やバイオ関連品の製造とアフリカ域内での事業拡大に期待を示した。

今回の工場建設は、政府が推進しているモロッコのバイオ医薬品開発拠点化計画(2022~2030年、予算規模:4億~5億ユーロ)に沿ったもの。計画は3期に分かれており、新型コロナワクチンの地元供給拠点確立を目指す第1フェーズ(2022年)では、モロッコの製薬研究所ソテマ(Sothema)が、中国のシノファームと提携しワクチン生産を行う。1月末時点で300万回分の生産能力に達しているとされ、2月中に500万回分の供給が行われる見込み。続く第2フェーズでは、無菌充填および最終製剤化(フィル・アンド・フィニッシュ)を行うアフリカ最大規模の施設建設を目指しており、センショー・ファーマテック設置はここに位置付けられている。第3フェーズ(2023~2030年)では、バイオ医薬品生産やワクチン開発をさらに推進し、モロッコをアフリカ大陸における製造拠点とすることを目指すとしている。

(本田雅英)

(モロッコ)

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