生き残りをかけトレンドを追求するフラワーショップ

(インドネシア)

ジャカルタ発

2022年02月01日

「新型コロナ禍」において、インドネシアでは社会制限が実施され、人が集まるイベントなどの開催が難しくなり、花の需要が落ち込んだ。しかし、インドネシア花協会(ASBINDO)によると、状況は徐々に改善されつつあるとのことだ(CNBCインドネシア1月28日)。状況を確認するため、ジェトロは1月20日、顧客からのリクエストに応じたカスタマイズを得意とするフラワーショップ「アトリエ・ハナビラ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の共同経営者であるサルマ・ファマディン氏とアンティア・スリスティオ氏にヒアリングを行った。

写真 サルマ・ファマディン氏(右)とアンティア・スリスティオ氏(左)(ジェトロ撮影)

サルマ・ファマディン氏(右)とアンティア・スリスティオ氏(左)(ジェトロ撮影)

(問)アトリエ・ハナビラの概要について。

(答)2015年にジョグジャカルタ市で創業し、大学生を主な顧客にフラワーアレンジメントを販売。当時はフラワーアレンジメントが珍しく、顧客の反応も良かったので2019年にはジャカルタにも店舗を開いた。現在は、フラワーアレンジメントに加え、生け花、ドライフラワー、プリザーブドフラワーも販売している。価格帯は25万ルピアから100万ルピア(約1,975円から約7,900円、1ルピア=約0.0079円)だが、当社はカスタムメイドを強みにしており、予算に応じたアレンジを行っている。ジャカルタでは個人客に加え、法人客も獲得した。個人客の年齢は20代から30代が多く、男女の割合は同じくらいだ。インスタグラムなどSNSを通し、ジャカルタ首都圏だけでなく、ジャワ島、スマトラ島、スラウェシ島、パプア島からも注文が入っている。

人気のある花はバラ、ユリ、菊で、価格も安価で色のバリエーションが豊富なことが理由だ。調達は主に国内の農家から行うが、需要に応じて日本からキンポウゲ、オランダからはチューリップ、ベトナムからポンポン菊、エクアドルからはバラなどを輸入する。

(問)「新型コロナ禍」の影響は何か。

(答)2020年3月から9月にかけて社会制限が実施され、店舗を一時的に閉店せざるをえず、売り上げが約7割減少した。さらに、物流コストも2~3割増加した。2021年に入ると売り上げは回復し、現在は月100~150の花束の注文を受けている。母の日やクリスマス、断食明け大祭(レバラン)といったイベント時は売り上げが2倍になる。

(問)最近のトレンドについて。

(答)インドネシアでは、トレンドに対応できなければ競争に生き残れない。紙幣と花束を一緒にラッピングした「マネーブーケ」が近年人気が出ていたところ、「新型コロナ禍」でさらにSNS上で注目されており、注文が入ることが多い。

写真 トレンドのマネーブーケ(アトリエ・ハナビラ提供)

トレンドのマネーブーケ(アトリエ・ハナビラ提供)

(問)今後の方向性について。

(答)当社の幅広い製品を生かし、さらなる法人客の獲得を目指す。直近では、化粧品のEC(電子商取引)サイトを運営する大手企業と連携し、PRパッケージを提供している。また、紅茶専門店向けに商品のパッケージを提供している。

(シファ・ファウジア、上野渉)

(インドネシア)

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