米下院、3回目のつなぎ予算可決、3月11日までの政府資金を手当て

(米国)

ニューヨーク発

2022年02月10日

米国下院議会で2月8日、2022年度(2021年10月~2022年9月)本予算成立までの3回目となるつなぎ予算が賛成272、反対162で可決、上院に送付された。共和党からは51人が賛成に回った。現行のつなぎ予算は2月18日までの期限となっており(2021年12月6日記事参照)、上院で期限までに成立できなければ、政府機関の一部閉鎖が行われる可能性が高まる。

今回のつなぎ予算も、人件費など政府機関運営のための必要経費が柱だが、ハワイ州のレッドヒル燃料貯蔵施設からの水質汚染物質の流出への対処費用3億5,000万ドルが緊急的に盛り込まれたほか、軍事的不安が高まっているウクライナ情勢を念頭に、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を名指しして、米国は欧州の同盟国と一致団結して行動するとのメッセージも盛り込まれた。つなぎ予算の期限は3月11日までで、それまでに本予算の合意を目指す。予算措置であるため、与野党で勢力が拮抗(きっこう)する上院では60票の賛成が必要になるが、民主党上院のチャック・シューマー院内総務(ニューヨーク州)は2月18日までに迅速に対応するとして成立に自信をみせている。上院では、2月14日の週に採決される見通し。また、シューマー議員は本予算についても、3月11日までに採決が実施できると表明している。本予算については、政府提案の予算では国防費が前年度比1.7%増と比較的抑えられていたのに対して(2021年4月13日記事参照)、共和党は国防費と非国防費を均等に支出するべきとしており、与野党間で調整が続いている。上院の歳出委員会に所属する共和党のリチャード・シェルビー議員(アラバマ州)は「規模では合意に近づいている」と指摘し、1兆5,000億ドル程度の規模が見込まれるとしている(ロイター2月8日)。

本予算に加えて、バイデン政権が政策の目玉とする「ビルド・バック・ベター」法案も成立しない中、3月1日にはジョー・バイデン大統領による一般教書演説が行われる予定だ。高インフレなどを背景に支持率が下降しているバイデン政権だが、一般教書演説でバイデン大統領がどういったことを国民に訴えるのか、予算の状況と併せて注目される。

(宮野慶太)

(米国)

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