アルゼンチン、一帯一路構想に参加へ、中国と首脳会談で合意

(アルゼンチン、中国)

ブエノスアイレス発

2022年02月10日

アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス大統領は2月4日から6日にかけて中国を公式訪問した。北京冬季オリンピック開催と両国の国交樹立50周年を記念し、中国側からの招待を受けてのもの。大統領官邸は、両国政府が「包括的・戦略的パートナーシップの深化に関する共同声明」を発表したことを明らかにした。

共同声明によると、2月6日にフェルナンデス大統領と中国の習近平国家主席が会談を行い、一帯一路構想へのアルゼンチンの参加について合意した。また、一帯一路構想への参加に当たり、アルゼンチンのサンティアゴ・カフィエロ外相と中国の何立峰・国家発展改革委員会主任が「シルクロード経済ベルトと21世紀海洋シルクロード(一帯一路)の建設の共同促進に関する了解覚書」に署名した。大統領官邸は、この「戦略的決断」が「中国によるインフラなどへの237億ドルの融資につながるもの」との声明を発表した。

237億ドルの融資は、2022年1月に両国が行った「第5回経済協力・協調戦略対話」で合意していた10のインフラプロジェクトへの140億ドルの融資、および、今後、両国政府が立ち上げるアドホックグループにおいてアルゼンチンが提案するプロジェクトへの97億ドルの融資の2つを合算したもの。

そのほか両国政府は、グリーン開発、デジタル経済、宇宙開発、イノベーション、教育と大学協力、農業、地球科学、公共メディア、原子力を対象とした13の協力文書に署名した。

共同声明によれば、上記に加えて両国政府は、アルゼンチンにおける財政の安定性を維持するため、2020年に更新した1,300億元(約204億ドル)の通貨スワップ協定が重要との認識で一致した。なお、アルゼンチン中央銀行が公表しているグロスの外貨準備高には、この1,300億元(約2兆3,400億円、1元=約18円)が含まれている。また両国政府は、IMFの特別引出権(SDR)の利用拡大に向け、他の当事者と協議する。

2月6日付の現地紙「クラリン」(電子版)によると、フェルナンデス大統領は、中国に先立って訪問したロシアで、先進国が低中所得国にSDRを融通する「強靭(きょうじん)性・持続可能性トラスト(RST)」へロシアの支持を促したと報じられている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン、中国)

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