英国、ウクライナ情勢受け、ロシアに対する経済制裁を発表

(英国、ロシア、ウクライナ)

ロンドン発

2022年02月24日

英国のエリザベス・トラス外務・英連邦・開発相は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナ東部の親ロシア派地域の独立を承認したことを受け、2月22日、ロシアに対する制裁の第1弾を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(注)。対象は、3人の個人(ゲンナジー・ティムチェンコ氏、ボリス・ロテンベルク氏、イゴール・ロテンベルク氏)とロシアの銀行5行(ロシア銀行、黒海開発・復興銀行、ISバンク、ゲンバンク、プロムスビャズ銀行。個人に対しては英国内の保有資産の凍結と英国への渡航禁止、銀行に対しても英国内の資産凍結が導入された。英国の個人、企業もこれら対象との取引が原則禁止される。

政府は今後、国会、連邦議会でドネツク、ルガンスクの承認に投票した者にも対象を拡大する予定。また、今後数週間のうちに、現在クリミア地域に関連して導入されている制裁を、ウクライナのいわゆる「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の両地域にも拡大する予定とした。実現すれば、英国の個人、企業は、同地域がウクライナの管理下に戻るまで、同地域との取引が認められなくなる。また、ロシアがさらなる攻撃的行動を起こした場合、ロシアの金融セクターや貿易なども対象とする、かつてない制裁パッケージを発動できるよう準備を進めるとしている。また、侵攻が縮小されない場合、ロシアによる英国市場での国債発行を阻止するための法制を導入するとした。

ボリス・ジョンソン首相も同日、ウクライナ情勢に関し議会に対して声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。ロシアによる親ロシア派地域の独立承認はミンスク和平合意違反とし、同地域へのロシア兵の侵入や戦車の配置などはウクライナへの新たな侵攻になるとした。最悪の場合、同国が本格的な侵略戦争の対象となると懸念を表明。引き続き、交渉や外交を通じた解決を追求するとしたものの、いかなるメッセージもロシアは聞き入れてこなかった可能性に直面すべきとした。

ジョンソン首相は同日午後、フランスのエマニュエル・マクロン大統領と電話会談外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。同首相はマクロン大統領に対し英国の制裁について説明し、両者はプーチン大統領の侵攻に対して資金を提供するロシアの個人、企業を対象に、引き続き協調して対応することで合意した。

(注)英国政府による対ロシア制裁の詳細は英国政府サイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(山田恭之)

(英国、ロシア、ウクライナ)

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