米商務省、カナダ産針葉樹材へのAD・相殺関税の引き下げ示唆

(米国、カナダ)

米州課

2022年02月03日

米国商務省は、カナダ産針葉樹材に賦課しているアンチダンピング関税(AD)と相殺関税(CVD)について、第3次行政審査の予備評価からほとんどの生産者に対し関税を引き下げると、米国・カナダの主要メディアが報じた。報道に対し、カナダのメアリー・エング国際貿易・輸出振興・中小企業・経済開発相は1月31日、「米商務省はカナダ産針葉樹材に対する不当な関税を維持する意向を示している」との声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

米政府によるカナダ産針葉樹材への関税は2017年から課されており(2017年7月3日記事参照)、報道によると、ADとCVDを合わせた関税は現在の17.91%から11.64%に低下するという。ほとんどのカナダ生産者に対して引き下げが行われるとする一方、ウエスト・フレイザー(本社:ブリティッシュ・コロンビア州)には現在の11.14%から13.09%に引き上げられる予定で、11月下旬に最終決定となる。

エング国際貿易・輸出振興・中小企業・経済開発相は声明で「カナダ産針葉樹に対する米国の関税は、カナダ全土の林業部門労働者と地域社会に打撃を与える」「米国は長年にわたり、住宅や革新的な建材のニーズを満たすために高品質のカナダ産木材に依存してきた。新型コロナウイルス感染拡大以降、世界では針葉樹材の価格が記録的に上昇し、カナダ産木材の需要が高まっている」とし、カナダ政府はカナダ・米国・メキシコ協定(CUSMA)に基づく訴訟などあらゆる手段で林産業界のために立ち向かい続けると述べた。

ブリティッシュ・コロンビア州木材取引協議会(BC Lumber Trade Council)のスーザン・ユルコビッチ会長は「われわれは、米国が数十年にわたる訴訟に終止符を打ち、世界が求める低炭素木材製品の需要に応えるために協力してくれることを望み続けている」と述べた(ブルームバーグ2月2日)。

(大塚真子)

(米国、カナダ)

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