リマ都市部とカジャオ憲法特別県に「犯罪防止非常事態宣言」が発令

(ペルー)

リマ発

2022年02月04日

ペルーのエクトル・バレール首相は2月2日、第3次内閣の初会合後に開かれた記者会見で、リマ都市部ならびに隣接するカジャオ憲法特別県で増加する犯罪への対策として、両地域に45日間の非常事態宣言を発令すると発表した。同日付で大統領令第012-2022-PCM号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布した。また、ホセ・ルイス・ガビディア防衛相も、同大統領令の発令により、戦略的に軍部を出動させる計画があることを示唆した。

犯罪対策による非常事態宣言の導入は、2015年12月4日(注)に、カジャオ憲法特別県で導入されて以来だ。当時のカジャオ憲法特別県警察によると、同宣言導入により犯罪数が43.0%、殺人件数が27.4%減少したという(現地紙「RPP ノティシアス」2月2日)。今回の大統領令によると、原則、国家警察を取り締まりの主体としながらも、軍部もその支援に当たる。また、宣言期間中は、憲法により保障されている住居の不可侵、国内移動の自由、集会の自由、個人の身体の安全と自由に関する権利が停止されるため、捜査当局は法定令状なしでの捜索が可能となる。

カジャオ憲法特別県警察によると、2021年の同県における殺人件数は全国で最も多く、11月20日までの統計で、銃器殺人が264件、そのうち215件が依頼殺人によるものだったという(現地紙「インフォバエ・ペルー」2月3日)。さらに、リマ市とカジャオ特別区における生活の質向上を目指す民間組織「リマ・コモ・バモス」による報告書によると、「生活に最も影響する問題」として、治安が72.8%と最も多く挙げられており、ペルー問題研究所(IEP)が2022年1月に行った調査でも、カスティージョ政権による治安対策について「悪い」「大変悪い」の回答が合わせて72.0%に上っている。

(注)2015年12月4日、ウマラ政権下で、カジャオ憲法特別県において麻薬組織間の抗争が激化し多くの死者が出たため、大統領令第083-2015-PCM号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにより45日間の非常事態宣言が発令され、その後2016年10月15日まで延長された。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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