双日、スタートアップへの出資を通じてインド消費財卸売事業に参入

(インド)

ベンガルール発

2022年02月15日

双日は1月20日、インドのスタートアップであるインテリジェント・リテール(ブランド名:Ripplr/リップラー)に出資し、同国における食品や日用品などの消費財卸売事業に参入外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしたことを発表した。巨大な人口を抱え、今後も内需の成長が期待できるインドで、消費者関連事業の強化に乗り出す。

インテリジェント・リテールは、自社開発による受注・配送・販売実績・在庫の一元管理プラットフォームを用いて、小売業者(販売先)からの注文受け付けから配送までをデジタル管理する。メーカー(仕入先)とリアルタイムに販売情報を共有できるようにすることで、卸業者が販売・配送状況をタイムリーに把握することを可能とするサービスを提供している。

双日のインド法人である双日インド会社ベンガルール出張所の桑原英望氏へのヒアリング(1月27日)によると、インドにおける消費者関連商品の流通構造は複数の中間業者が存在する複雑な構造が残っており、メーカーと小売業者の双方にとって課題となっている。インテリジェント・リテールはデジタル化されたプラットフォーム機能により、複数メーカーから複数の小売業者に迅速に商品を供給し、インド流通構造の効率化を実現している。

画像 サービスイメージ図(双日インド会社提供)

サービスイメージ図(双日インド会社提供)

双日インドは、スタートアップとの協業や戦略投資を通じた新規事業の創出を図るため、2019年5月に様々な企業のグローバル戦略拠点や研究開発拠点が集積するベンガルールに出張所を開設した。また、これに先んじて、同年1月にはベンガルール拠点のベンチャーファンド「スリー・ワン・フォー・キャピタルアドバイザーズ」に出資していた。今回の投資は、同ファンドからの紹介が最初のきっかけとなった。

消費財卸業者向けの先進的なプラットフォーム機能により、インテリジェント・リテールが多数のインド大手メーカーとの取引を実現していたことや、双日が持つベトナムでの卸売事業運営の知見の活用による相乗効果が期待できたことから、経営陣や既存株主との対話を重ねて今回の出資決定に至った。双日は、卸売事業運営の経験を生かしながら、インテリジェント・リテールの戦略構築を支援していく方針だ。

(倉谷咲輝)

(インド)

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