中国、3月1日から5万元以上の現金預け入れ・引き出しが登録制に

(中国)

北京発

2022年02月15日

中国人民銀行(中央銀行)、中国銀行保険監督管理委員会、中国証券監督管理委員会は1月26日、「金融機関の顧客管理と身分証明資料および取引記録保存管理弁法」(中国人民銀行、中国銀行保険監督管理委員会、中国証券監督管理委員会令〔2022〕第1号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(以下、弁法)を発表した(公布日は1月19日)。銀行、証券会社、保険会社などの金融機関、非銀行系の支払機関(モバイルペイなど)に対し、マネーロンダリング、テロリズム対策などの観点から顧客管理強化を求めたもの。3月1日から施行される。

弁法では、金融機関に口座を開設している個人顧客が、1回当たり5万元(約90万円、1元=約18円)以上もしくは1万ドル相当以上の外貨の現金預け入れ・引き出しを行う場合、金融機関は顧客の身分証明資料を確認し、資金の出どころや用途を登録する必要があると定められている。

その他、口座を開設していない顧客の現金振り込み、外貨現金両替、貴金属売買、金融商品販売の金額が5万元以上もしくは外貨で1万ドル相当以上となった場合、顧客情報を登録し、身分証明資料のコピーなどを保存するといった内容が定められている。

報道によれば、弁法公布後、預け入れ・引き出しに登録が必要になることについて、中国の代表的SNS「微博(ウェイボー)」の検索ワードランキングで上位になるなど注目が集まっていた(「界面新聞」2月9日)。

中国人民銀行関係者は、弁法が実施されても「正常な現金預金・引き出しは影響を受けず、利用者の利便性も低下しない」と一般的な取引に大きな影響は生じない、という見解を示している(「上海証券報」2月10日)。

銀行関係者からは「まだ具体的な手続き方法は通知されていないが、おそらく顧客は資金の出どころや用途を資料に記入することになるのではないか」(「北京商報」2月10日)との声がある。

招聯金融の董希淼主席研究員は「中国ではモバイルペイが発達しており、個人で5万元以上の現金預け入れ・引き出しを行うことは少ない。また、必要とされているのは出どころや用途について登録用紙に記入するのみで、現時点で具体的な証明資料の提出は求められておらず、顧客の利便性への影響は非常に小さい」と述べている(「羊城晩報」2月9日)。

(河野円洋)

(中国)

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