2021年の貿易収支、過去最高の570億5,983万ドルの黒字

(ブラジル)

米州課

2022年01月07日

ブラジル経済省は1月3日、2021年(通年)の貿易収支(国際収支ベース)を発表した。輸出(FOB)が前年比22.4%増の2,560億2,836万ドル、輸入(FOB)が25.3%増の1,989億6,853万ドルで、貿易収支は570億5,983万ドルの黒字となった。現行の方法で統計を取り始めた1989年以降、過去最高の黒字幅になった。

輸出を国・地域別にみると、どの国に対しても前年比で増加した。構成比で32.1%を占める輸出相手国第1位の中国が21.3%増、米国(構成比10.9%)が29.9%増、アルゼンチン(構成比4.2%)も26.6%増加した(添付資料表1参照)。また、チリ(54.5%増)、インド(48.8%増)、シンガポール(44.7%増)への輸出は著増した。寄与率でみると、中国が30.8%と輸出全体の増加に最も寄与したが、その他の国への輸出も大幅に増加したというのが2021年の輸出の特徴だ。経済省のルーカス・フェラス氏は同省の公式ウェブサイトで「2020年は中国などアジア諸国の需要増が押し上げ要因だったが、2021年はどの輸出相手向けも伸びている。2021年は全世界的に『新型コロナ禍』からの回復がみられる」と述べた。

輸出を品目別にみると、構成比で15%を占める「鉄鉱石およびその精鉱(凝結させてないもの)」が58.8%増と大幅に増加した。「石油、歴青油(原油に限る)」も39.7%増加した。(添付資料表2参照)石油や鉄鉱石の国際的な需要増加に伴うものだ。他方で、主要な輸出農産品のサトウキビ(0.8%減)やトウモロコシ(42.2%減)は減少した。特にトウモロコシの減少幅は大きい。雨不足による干ばつで収穫量が減少したことなどが影響した。牛肉(3.0%減)も減少した。ブラジルでは2021年10月に国内の幾つかの食肉工場で牛海綿状脳症(BSE)が確認されたことを受け、最大の輸出相手国の中国向け輸出も一時停止されたためだ。

輸入を国・地域別にみると、最大の輸入相手国の中国は前年比23.2%増加した。寄与率でみると、20.1%と米国(寄与率17.8%)と並んでブラジルの輸入全体を牽引した(添付資料表1参照)。米国からの輸入も25.6%増加した。

輸入を品目別にみると、いずれの品目も前年比で増加した(添付資料表2参照)。人用ワクチン(4.8倍)や医薬品(5.6%増)は新型コロナウイルス感染拡大の影響を強く受けたものだ。また、降雨不足により全国的に生じた電力不足を補うため、電力(67.6%増)輸入も増加した。経済省貿易局によると、ワクチンを含む医薬品関連製品の輸入額は2020年比で77.1%増加、中間財の輸入額も45.7%増加した。ルーカス・フェラス氏は、輸入の増加は内需の回復を示すものと強調している。

(辻本希世)

(ブラジル)

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