国連が2022年のアフリカの経済見通しを4%と発表、新型コロナへの脆弱性を指摘

(アフリカ)

中東アフリカ課

2022年01月24日

国連経済社会局(UN DESA)は1月13日、「世界経済状況と予測2022外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表し、2022年と2023年のアフリカ地域の実質GDP成長率の見通しを、それぞれ4.0%、3.6%とした。同報告では、アフリカ経済が「新型コロナ禍」から回復傾向にあるものの、途上国全体の予測(2022年は4.5%、2023年は4.7%)と比べそのペースは緩やかで、新型コロナウイルス感染拡大の波に脆弱(ぜいじゃく)なことを指摘している。なお、2021年のアフリカの実質GDP成長率については3.8%と推定している。

同報告書では、アフリカは現状としてワクチンの接種率が低く、13億人のうち少なくとも1回のワクチン接種を受けたのはわずか10%程度で、多くの国において、ワクチン接種率は人口の5%未満となっていることを挙げている。そのため、各種規制の強化などの措置が、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐ主な手段となっており、経済活動に支障をきたしている、と指摘する。その上で、ワクチン接種率の向上および新型コロナウイルス感染対策にかかる各種規制の段階的な解除を課題として挙げ、ワクチン製造や物流を含めたインフラ面での改善が求められるとしている。また、同報告書は、国内での武力紛争や暴動といった政情不安も、投資の抑制につながるなどアフリカ諸国の経済成長を妨げる一因になる、と指摘する。そのほか、干ばつなどによる農作物や家畜生産の不安定化が食料価格を引き上げ、インフレ率を押し上げる可能性があるとしている。

セクター別にみると、一次産業については、世界的な需要の増加と価格の高騰により、見通しは明るいとしつつも、価格上昇は一過性のもので、強固で持続的な成長をもたらすには不十分とし、経済改革と産業の多角化が課題だとしている。観光業は、欧州やアジア各国の旅行規制の緩和や経済回復に加え、モロッコやチュニジアなどワクチン接種が進んでいる国においては、改善の見込みがあるとする。ただし、観光客数については、今後2年間は、新型コロナ禍以前の水準には戻らないと指摘している。

国別にみると、ナイジェリアの2022年の経済成長率を2.8%と予測しており、石油関連の新たな案件や公共インフラの整備が投資を促進するとしている。もっとも、ワクチン接種率の低さやインフレ率の高さが下振れリスクになることを指摘している。南アフリカ共和国については、2022年の経済成長率を2.3%と予測する。暴動などの政情不安、新型コロナウイルス感染拡大に伴う観光業の低迷、頻繁な停電、高い失業率などが、同国の経済回復を妨げているとしている。エジプトについては、2022年の経済成長率を5.7%とし、民間消費・投資や、輸出の堅調な伸びによる大きな回復を見込んでいる。その一方で、公的および対外債務が急激に増えており、下振れリスクがあることを指摘している。

(梶原大夢)

(アフリカ)

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