黒字見込み企業は過去5年で最高、2021年度海外進出日系企業実態調査(中東編)

(中東、アラブ首長国連邦、トルコ、サウジアラビア、イスラエル、イラン、カタール、ヨルダン、クウェート、バーレーン、オマーン)

中東アフリカ課

2022年01月20日

ジェトロは1月13日、「2021年度 海外進出日系企業実態調査(中東編)」の結果を発表した。この調査は2021年9月1~30日に中東10カ国〔アラブ首長国連邦(UAE)、トルコ、サウジアラビア、イスラエル、イラン、カタール、ヨルダン、クウェート、バーレーン、オマーン〕に拠点を有する日系企業255社を対象に行ったもので、230社から有効回答を得た(有効回答率90.2%)。

2021年の営業利益見込みについて、中東10カ国全体では、前年調査(2020年9月実施)から20.1ポイント増の65.2%の企業が「黒字」を見込むと回答。過去5年間で最も高い数字となった。「赤字」見込みの企業も前年比11.9ポイント減の14.3%で、営業利益の回復が鮮明となった。国別でも、全ての国で「黒字」と回答した企業の割合が増加した。

2021年の営業利益を前年比で聞いた設問では、「改善」を見込む企業は35.0%で、「悪化」の9.9%を大きく上回った。改善を見込む最大の理由は「現地市場での売り上げ増加」だったが、その要因としては「前年の新型コロナウイルスによる売り上げ減の反動」とする回答が最多となった。ただし「新型コロナに起因する売上増」とする回答も2割弱あった。

2021年の営業利益について、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年と比べて「悪化」と回答した企業は17.1%だったものの、2022年の営業利益見通しでは「悪化」は7.2%まで減少、「改善」は40.7%に拡大しており、2022年はさらなる回復が見込まれている。ただし、同年の見通しを「悪化」と回答した企業の半数がその要因として「調達コストの上昇」を挙げており、国際物流の混乱の影響が続くことが懸念されている。

今後1~2年の事業展開については、「現状維持」と回答した企業が56.3%で最多だったが、前年に比べると3.9ポイント減少した。一方、「拡大」と回答した企業は40.2%で、同7.0ポイントの増加となった。事業拡大の理由としては「現地市場での売り上げ増加」(75.0%)が、拡大する機能は「販売機能」(70.3%)が最多の回答だった。

(稲山円)

(中東、アラブ首長国連邦、トルコ、サウジアラビア、イスラエル、イラン、カタール、ヨルダン、クウェート、バーレーン、オマーン)

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