中銀が政策金利を40%に引き上げ、2020年11月以来の利上げ

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年01月18日

アルゼンチン中央銀行は1月6日、政策金利〔28日物中央銀行債(Leliq)の利率〕をこれまでの38%から40%に引き上げた。2020年11月17日以来の引き上げとなった。引き上げ前の利率38%は、2021年のインフレ率(50.9%)を13ポイントも下回っていた。

今回の引き上げは、2021年12月5日から10日にかけてのIMFとアルゼンチン政府間の協議を受けての対応とみられる。同協議でIMFは、実質金利をプラスにすることでインフレに歯止めをかけることを求めていた。そのほかIMFは、必要な社会的支出を確保しながら財政を徐々に改善する必要性、高止まりするインフレに対処するために財政ファイナンスの縮小と財政赤字の削減、外国直接投資や輸出の奨励などによる外貨準備高増強の必要性について、「双方が一般的な理解を得た」と12月10日付公式ウェブサイトを通じて発表していた。なお、IMFが12月16日に行ったプレス向けブリーフィングによると、「必要性について理解を得た」ということで、アルゼンチン政府がこれらを実施するべく合意したというわけではないようだ。

中銀は声明を発表し、新たな政策金利の水準は、現地通貨建て投資に対する実質金利をプラスにすることを目指し、金融と為替レートの安定を維持するために設定したもので、「2022年にかけて物価上昇圧力は弱まるだろう」としている。しかし、中銀が毎月集計する民間エコノミストらの経済指標の見通しによると、2022年のインフレ率は54.8%となっており、中銀が今後も政策金利を引き上げる可能性が指摘されている(現地複数紙)。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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