カナダ保健省、自宅で服用可能なファイザー製新型コロナ治療薬を承認

(カナダ、日本)

トロント発

2022年01月18日

カナダ保健省は1月17日、18歳以上の新型コロナウイルス軽症者および中等症患者を対象として、「ニルマテルビル」と「リトナビル」という2つの抗ウイルス剤の組み合わせによるファイザー製治療薬「パクスロビド」を承認したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同治療薬の有効成分ニルマテルビルは、ウイルスの体内での増殖を抑えるという。これまでの新型コロナウイルス承認薬は医療機関で服用する必要があったが、パクスロビドは自宅で服用可能な初の治療薬となる。

同治療薬は、新型コロナウイルス感染診断後、症状が出始めてから5日以内にできるだけ早く使用することが望ましいとされており、ニルマトルビル2錠とリトナビル1錠を1日2回、5日連続で経口投与する。

ファイザーは2021年11月、数カ月にわたる臨床試験を経て、入院していない高リスクの新型コロナウイルス患者において、パクスロビドがプラセボ(偽薬)と比較して入院または死亡リスクを89%減少させたと発表していた。

カナダ保健省では、ファイザーから2021年12月1日付で同治療薬の申請を受け、迅速審査を実施していた。日本でも、同社日本法人が2022年1月14日付で厚生労働省へ同治療薬の製造販売承認を申請した。

本発表が行われた後、連邦政府のフィロメナ・タッシ公共サービス・調達相は、同薬の初期出荷分として3万400回分を同日付で受領し、3月末までにさらに12万回分の調達を見込んでいることを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。カナダ政府は100万回分の調達を契約済みで、追加分の早期受領を可能にするため、納品日程を確定中だという。

発表を受け、ジャンイブ・デュクロ保健相は「パクスロビドのような使いやすい治療薬が使用可能になることは、カナダ人の新型コロナウイルス感染の重症化を抑え、医療体制の負担を軽減するうえで非常に重要だ」とコメントした。

ただし、カナダ保健省は、パクスロビドを含めいかなる医薬品もワクチン接種の代用にはならないとして、妊娠中、妊娠の可能性がある人、授乳中の人を含め、対象となる全てのカナダ人に、引き続きワクチン接種を強く推奨している。

(飯田洋子)

(カナダ、日本)

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