広東省、eスポーツ産業で圧倒的なシェア、政府も産業支援強化
(中国)
広州発
2022年01月20日
中国の広東省ゲーム産業協会は1月5日、同省における2021年のeスポーツ産業の売上高が前年比3.2%増の1,236億3,000万元(約2兆2,253億4,000万円、1元=約18円)に達したことを明らかにした。全国のeスポーツ産業の売上高に占める割合は73.6%と、圧倒的なシェアを誇っている。売上高の内訳は、eスポーツゲームアプリ・ソフトウエアの売り上げが92.7%、ゲームのライブ配信の売り上げが7.0%だった。
広東省のeスポーツ産業の就業者数は全国の31.6%を占め、省・直轄市・自治区別では2位の上海(18.9%)を大きく引き離して首位となっている。同協会はその要因として、騰訊科技(テンセント)、網易(ネットイース)など多くの従業員を擁する大手IT企業が所在しているほか、製造業が集積する同省では、eスポーツ関連機器の開発製造事業を新たに展開する企業も増えている点を挙げている。
近年、eスポーツの経済効果や社会的意義が認められ、地方政府も積極的に産業支援の取り組みを強化している。広東省工業情報化庁などは2020年に「広東省デジタル・クリエーティブ戦略性新興産業クラスター育成行動計画(2021~2025年)」を発表。eスポーツ産業のイノベーションと発展を促進し、産業エコシステムを全面的に構築することを明記した。加えて、広東省内の各市・区政府も続々と補助金の支給など支援策を打ち出している。競技場の建設やコンテンツの研究開発、大型競技大会の開催、有力競技クラブの進出などに補助金を交付するほか、eスポーツ人材個人に対する人材認定制度や奨励金政策も打ち出している。
地方政府や業界団体、企業などによるルール標準化、人材育成などさまざまな新しい試みも行われている。2021年9月には粤港澳大湾区標準創新連盟がeスポーツ産業に関する統一基準「モバイルeスポーツ競技大会用機器の技術要件とテスト方法」を発表した。翌10月には広州体育学院、広東省eスポーツ協会、広州市内のゲーム開発企業(広州趣丸網络科技)の3者が「eスポーツ教育産業戦略協力協定」を締結。同協定に基づき産学連携によるeスポーツ人材育成基地が広州市に設立された。さらに11月には、広州市が全国初のeスポーツ競技解説技能コンテストを開催している。
(汪涵芷)
(中国)
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