南部バリア・ブンタウ省、石油化学の産業集積が進行

(ベトナム)

ホーチミン発

2022年01月04日

ベトナム南部のバリア・ブンタウ省で、石油化学の産業集積が進行している。同省商工局は2021年12月23日、「石油化学製品・南部経済圏サプライチェーン・オンラインセミナー」を開催、さらなる投資誘致へ同省の魅力をPRした。

同省では、2018年からタイの王室系財閥サイアムセメントグループがロンソン石油化学プロジェクト(用地464ヘクタール)を進めており(工事進捗率は89%、注)、2023年初頭に操業を予定している。この施設はナフサを原料として、オレフィン類(年間160万トン)、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを製造する。また、韓国の暁星化学は、液化石油ガス(LPG)の地下貯蔵タンクとLPGを原料としたポリプロピレン工場の稼働を12月17日に開始したばかりだ。さらに、国営石油ガス会社のペトロベトナムガスは、ベトナム初の天然ガス輸入ターミナルを建設中で、2022年第3四半期(7~9月)に第1期(100万トン)の稼働を予定している。

今回のセミナーに出席した同省人民委員会のグエン・コン・ビン副委員長は「バリア・ブンタウ省には深水港や工業団地、利便性の高い交通インフラが備わっており、世界的に有名な化学企業の誘致に成功してきた」と述べた。

同省ジャパンデスクの風間賢雄顧問は同省の4つの魅力として、「充実した港湾サービス(14~16.5メートルの深水港のカイメップ・チーバイ港)」「生産エネルギーの多様化〔原油、天然ガス、LPG、LNG(液化天然ガス)〕」「山水を源流とする真水の安定供給」「電力の安定供給〔天然ガス発電4,100メガワット(MW)〕」を挙げた。その上で、同省が国際物流拠点化など産業発展戦略を実行してきたと紹介。現在、石油化学関連の産業集積が進みつつあることから、「これまで輸入に頼っていた石油化学基礎品がベトナム国内で調達可能になる」「バリア・ブンタウ省で生産した素材を近隣のドンナイ省やビンズオン省、ロンアン省、ホーチミン市の軽工業地帯に供給することにより、サプライチェーンの形成を期待したい」と述べた。

(注)12月23日開催のセミナーでの発表に基づく。

(比良井慎司)

(ベトナム)

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