英政府、「AIスタンダードハブ」の試験運用実施を発表

(英国)

ロンドン発

2022年01月18日

英国政府は1月12日、人工知能(AI)におけるガバナンスを発展させ、同国への関連投資や雇用を促進すべく、「AIスタンダードハブ」の試験運用を実施することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同ハブは、英国が2021年9月に発表した「国家AI戦略外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の一環で、AI技術の国際標準整備に向けた同国の貢献度を高める狙いがある。

試験運用は、データ科学とAIに関する英国国立研究機関であるアラン・チューリング研究所が主導するほか、英国規格協会(BSI)と英国国立物理学研究所(NPL)がサポートを行う。また、デジタル・文化・メディア・スポーツ省(DCMS)と人工知能局(OAI)が同ハブの支援を行うとした。

政府は、同ハブを通じて、事業者向けの実用的なツール開発や、新たなオンラインプラットフォームを通じたAIコミュニティのとりまとめなどを行う考え。同日に発表された英国企業におけるAI活用の調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、2040年までに130万社以上がAIを活用し、2,000億ポンド(約31兆2,000億円、1ポンド=約156円)超をAI関連技術、雇用に支出すると予測されており、政府は急速に発展する同分野での英国の存在感を示したい構えだ。他方、政府は、同分野において英国が既に成功を収めていることも強調。同国コンサルティング企業のテック・ネーションの2021年6月の発表によると、英国には1,300社超のAI企業が存在し、10年間で7倍になった。また、同期間でのベンチャーキャピタル(VC)による投資額は、1億2,000万ドルから2020年に34億ドル超にまで急増している。

ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)のジョージ・フリーマン科学・研究・技術革新担当相は「AIがもたらす変革の影響は、急速に経済や社会の中心となっている」と、同分野の重要性を強調したうえで、今般のAIスタンダードハブ試験運用に対しての期待を示した。

(尾崎翔太)

(英国)

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