ホーチミン市新都市開発で高価格の落札者が辞退

(ベトナム)

ホーチミン発

2022年01月18日

ベトナムの不動産開発大手タン・ホアン・ミングループは1月12日、落札していたホーチミン市直轄トゥードゥク市トゥーティエム新都市開発(注1)の用地購入を、自主的に辞退すると発表した。高価格での落札結果に対して、財務相が「市場に悪影響を与え、混乱が生じる」との懸念を臨時国会で表明していたことなどに対応したもの。同日付の政府公報や税関オンラインニュースなどが伝えた。

トゥーティエム地区の不動産開発用地については、タン・ホアン・ミングループ傘下のゴイ・サオ・ベトが2021年12月10日、同用地の土地区画「3-12」約1万平方メートルを24兆5,000億ドン(1平方メートル当たりの単価24億5,000万ドン)(約1,225万円、1ドン=約0.0050円))で落札した(注2)。次点は、外国企業で23兆8,000億ドンだった。タン・ホアン・ミングループは入札結果について、「利益は当初の想定には及ばないが、投下資本は回収でき、グループの価値を毀損(きそん)しない」、「『新型コロナ禍』での困難に直面するホーチミン市の予算収入の増加に貢献する」と評価していた。

しかし、入札開始時の価格の約8倍と高価格なことが世論の関心を集めた。特に臨時国会における財務省からの懸念表明を受け、タン・ホアン・ミングループは「入札結果は経済全体、特に不動産市場に混乱を与える恐れがある」とし、購入の辞退を決めた。

写真 トゥーティエム地区開発の様子(ジェトロ撮影)

トゥーティエム地区開発の様子(ジェトロ撮影)

(注1)ホーチミン市では、直轄市トゥードゥク市を2021年に創設し、トゥーティエム地区などで新都市開発を進めている(2020年11月26日記事参照)。

(注2)ホーチミン市税務局は、ゴイ・サオ・ベトが入札した区画を含めた4区画(「3-5」6,446平方メートル、「3-8」8,500平方メートル、「3-9」5,000平方メートル、「3-12」1万59平方メートル)について、落札者は30日以内に土地使用料の50%を、90日以内に残りの50%を支払うよう通知を出していた。

(比良井慎司)

(ベトナム)

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