政府、新型コロナ・オミクロン株感染拡大に備え、企業に事業継続計画の導入要望

(シンガポール)

シンガポール発

2022年01月24日

新型コロナウイルスのシンガポール政府タスクフォースは1月21日、オミクロン型変異株の感染拡大に対応するため、企業に対し、社会・経済活動に必須のサービス(エッセンシャルサービス)事業者を中心に、交代勤務などの業務継続計画(BCP)の導入を求めた。また、社員が出勤する際に定期的に自主検査をするとともに、職場での感染予防対策を徹底するよう呼びかけた。

同国では、新型コロナ感染者は1週間前には1日当たり平均約800人だったのが、1月20日に1,472人に増加した。ただし、集中治療室病床の患者は1月20日時点で14人にとどまっている。政府タスクフォースは、感染した労働者の症状が軽症または症状がなくても、感染予防のために隔離が必要になると指摘。「感染が今後急拡大し、欠勤者も急増する可能性がある」と述べた。

政府タスクフォースの共同委員長を務めるガン・キムヨン貿易産業相は同日の会見で、現在、新型コロナの1日当たり感染者の少なくとも約7割がオミクロン株だと語った。その上でガン貿易産業相は「オミクロン株の(感染者全体に占める)割合が90%以上になる可能性が現実的に高い」との見方を示した。政府タスクフォースはオミクロン株の感染期間が短いことを受け、ワクチン接種完了者と12歳以下の子どもについて、感染者の隔離期間をこれまでの最長10日間から7日間に短縮した。また、旧正月(2月1~2日)も、現行の集会の人数上限である5人を維持する方針を明らかにした。

ワクチン・トラベルレーンの渡航者への検査義務、一部緩和

一方、政府タスクフォースは国外からの渡航者のオミクロン株感染者の割合が縮小していることを受け、ワクチン接種者を対象に、相互に隔離なしの渡航を可能にする「ワクチン・トラベルレーン(VTL)」を使ってシンガポールに入国した人への検査義務の一部緩和を発表した。同国では2021年12月7日以降、VTLを使った入国者に対し、チャンギ空港到着時のPCR検査に加え、入国後の7日間に抗原検査(ART)を毎日行うことを義務付けていた(2021年12月7日記事参照)。このART義務について、1月23日午後11時59分から、外出する際には入国後2日目と7日目に自ら簡易テストキットを使ってARTを行い、その結果を報告する必要があるとした(注)。

(注)1月23日午後11時59分以前に入国した人は引き続き、入国後2、4、5、6日目に自ら簡易テストキットでのARTをして、その結果をオンラインで報告するほか、3日目と7日目については指定検査センターでARTを受ける義務がある。VTLに関する詳細は入国管理局(ICA)のセーフトラベルのホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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