英国のEU離脱で2021年の英国からフランダース地域への直接投資件数が増加

(ベルギー、英国)

ブリュッセル発

2022年01月21日

ベルギーのフランダース政府貿易投資局(FIT)は1月18日、2021年の同地域の対内直接投資に関する分析を発表(プレスリリース)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(注)。それによると、フランダース地域で295件の投資計画(グリーンフィールド、合併・買収、事業拡大など)が実施され、6,233件の雇用が創出された。

2021年は、米国と英国から同地域への投資件数が大幅に増加し、国別の投資件数で上位1位、2位を占めた(添付資料表参照)。特に、英国からの投資は4年連続で増加しており、投資件数の3分の2は英国のEU離脱(ブレグジット)に関連しているという。2021年に同地域に投資した英国企業は49社で、単年の英国からの投資件数としては過去最多、うち30社以上がブレグジットが決め手となったとしている。

FITは英国からの投資が増加した背景について、次のように分析している(プレスリリース)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。2021年当初から多くの英国企業はブレグジットによって新たに発生した行政手続きに苦慮していた。EU加盟国、さらには加盟国内の各税関によってルールの解釈が異なる事態が発生したことで、英国企業とビジネスを行うEU企業にとって、納期や税負担についての不透明性が高まっていた。これらの課題へ対応するため、多くの英国企業がEU域内に拠点を設けることを検討し、交通・輸送、税率、英語人材の確保などで優位性を持つフランダース地域が拠点として選ばれたとFITはみている。

FITによると、2016年以降、95社の外国企業がブレグジットの影響からビジネスを守るためにフランダース地域への投資を決めたと回答しており、これらのプロジェクトは同地域に3,097件の雇用を生み出し、総投資額は22億1,000万ユーロに上る。

フランダース政府のヤン・ヤンボン首相は今回のFITの発表に際し、「ブレグジットによる負の影響の緩和手段を模索する企業にとって、フランダース地域が決定的な優位性を提供できることは明らかだ。われわれにはアクセスの良い港と物流網があり、欧州の主要な工業・商業拠点の中央に位置するという戦略的な地の利がある」とコメントした。

(注)ベルギーは連邦制で、通商分野の政策は各地域政府が管轄している。

(大中登紀子)

(ベルギー、英国)

ビジネス短信 3e6f317aeb4d035d