グノシー、インドの若年層向け金融サービス企業に追加出資

(インド)

ベンガルール発

2022年01月11日

情報キュレーション・ニュース配信といったメディア事業などを手掛けるグノシーは2021年12月9日、インドのガラージプレナーズインターネットに最大1,000万ドルの追加出資外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますすることを発表した。グノシーの関連会社である合同会社グノシーキャピタルは2019年10月に同社へ最初の投資を行って以来、段階的に追加出資を重ねてきた。今回の決定で、累計出資額は最大30億円超となった。グノシーは創業者に次ぐ筆頭株主として経営面、技術面などの連携を図る。

投資先のガラージプレナーズインターネットは、インド国内最大のスタートアップ集積地カルナータカ州ベンガルールに本社を置く、モバイルアプリを用いたデジタルクレジットサービス「スライス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を提供するユニコーン企業だ。インドでは通常、銀行などでクレジットカードをつくるために厳格な審査が実施されるため、学生や勤続年数の短い若者など、成熟したクレジットスコアを持たない人々にとってはカードの保有が困難だ。同社は「スライス」を通じ、独自の与信ノウハウで若年層を中心に信用決済を提供している。2021年1月に月間約2万枚だった新規デジタルクレジットカード発行枚数を、同年10月には月間約20万枚と10倍近くまで伸ばし、現在は500万人以上の登録ユーザーを有しているなど、大きく成長している企業だ。

グノシーの木村新司代表取締役会長と、間庭裕喜最高財務責任者(CFO)に取材した(2021年12月20日)。今回の追加出資決定は、ガラージプレナーズインターネットが、インドの総人口で大きな割合を占める若年層が抱える課題へのソリューションを提供していること、クレジットカードを「後払いサービス(Buy Now Pay Later:BNPL)」に近い感覚で使える顧客体験を提供していること、さらには、明確な経営戦略を持つ優秀な経営陣がいることなどが理由だ。

また、インドIT人材の高い技術力にも注目しており、「成長力の高い同国で、ビジネスの基盤を築くことが重要だ」(木村会長)と意気込む。中長期的には、スライスの顧客基盤分析を基に、デジタルプラットフォームの共同開発における協業可能性を探る。グノシーは今後も、経済発展を遂げる上で課題になっている領域に注目する。それらを中心に、日本国内外企業への投資・発展のサポートを行い、メディア・広告事業といった既存の事業領域以外の新たな収益柱の構築をめざす計画だ。

(倉谷咲輝)

(インド)

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