米消費者物価の上昇要因にガソリンと中古車、シンクタンク調査

(米国)

米州課

2022年01月26日

米国シンクタンクのピュー・リサーチ・センターは1月24日、米国の消費者物価指数(CPI、注1)が2021年12月に前年同月より7.0%上昇(2022年1月13日記事参照)したことを踏まえ、分析レポート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公開した。

12月のCPIが39年半ぶりの上昇率を記録した背景には、CPIで大きなウェートを占めるエネルギーおよび輸送関連の商品の価格高騰がある。エネルギーに関しては、ガソリン価格が軒並み上昇した。レギュラーは前年同月比50.8%増、ハイオクは41.9%増で、車社会の米国に大きなダメージを及ぼしている。プロパンガス、灯油といった暖房や調理に使う燃料も33.8%増だ。

また、輸送関連の製品については、中古車および中古トラック(前年同月比37.3%増)やレンタカー(36.0%増)の価格が高騰し、CPIを引き上げる要因となった。新型コロナウイルスの感染拡大が生産現場に影響し、新車の生産が追い付かず、代わりに中古車および中古トラックの需要が伸びて、価格の高騰につながったとみられる。食品への影響も大きく、食肉(牛肉)は22.1%増だ。

住居費がCPIで最大のウエート

CPIに反映される品目のウエートをみると、最も大きなウエートを占めるのは住居(32.39%)で、続いて食料品(13.99%)、輸送関連の製品(7.98%)、エネルギー(7.54%)となっている。他方、アパレル(2.67%)、娯楽用品(1.95%)、アルコール飲料(0.99%)などがCPIに占めるウエートは、それほど大きくない(注2)。

ジョー・バイデン大統領は2022年1月12日、CPIに関する声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、「ガスおよび食料品の価格は先月よりも下落しており、われわれは物価上昇率の抑制において前進している。インフレは世界的な課題だが、米国は幸いにも、米国救済計画法などのおかげで最も急速に経済が成長している国の1つだ」と述べた。しかし、インフレの進行がバイデン政権の支持率を低下させている一因といわれており、同政権が現在議会での可決に向けて動いている「ビルド・バック・ベター法案」が成立したとしても、価格の増加に対処するための条項全てが直ちに効力を発揮するわけではない(「ワシントン・ポスト」紙電子版1月24日)との指摘もある。

(注1)米労働統計局は、数百の商品やサービスの価格データを収集した上で消費者物価指数(CPI)を算出している。採用されている算出方法は、マーケットバスケット方式と呼ばれ、8,000の一軒家や2万3,000の小売業者、サービス・プロバイダー、オンライン店舗などの情報に基づく。

(注2)2021年11月のデータに基づく。

(片岡一生)

(米国)

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