中央国有企業の中国電子情報産業集団、深センに本社を移転

(中国)

広州発

2022年01月06日

中国の中央国有企業(注1)の中国電子信息産業集団(CEC)は12月25日、本社を北京市から深セン市南山区へ移転した。

同日に開催された新オフィスの完成披露式典には、国有資産監督管理委員会共産党委員会の郝鵬書記や、共産党広東省委員会の王偉中副書記(兼共産党深セン市委員会書記)らが出席。中国電子の芮(ぜい)暁武董事長は式典で「深セン市への移転を契機として、広東省と深セン市で世界レベルのインターネット・情報産業の集積の加速化に注力し、国家の科学技術の自立的な発展、産業チェーン・サプライチェーンの安全と安定に貢献する」と述べた。

中国電子はネットワークセキュリティーやコンピュータソフトウエアなどを主な業務としている。米国フォーチュン誌の「世界トップ企業500」に10年連続でランクインし、2020年末時点で傘下に15社の上場企業、18万人余りの従業員を有し、連結での年間売上高(営業収入)は2,479億2,000万元(約4兆4,625億6,000万円、1元=約18円)に上る。

移転先の広東省は中国の中でも民間企業が多く、開放的なビジネス環境と市場競争の下で、有力な企業を多数生み出している。広東省市場監督管理局の発表によると、2020年末時点の同省の市場主体数(注2)は1,384万8,500社と中国全体の約1割を占めている。中でも深セン市は、川上から川下まで電子情報産業のクラスターが形成されており、南山区にはテンセントや中興通訊(ZTE)、TCLなどの大手電子関連企業も集積している。2020年における同市の電子情報製造業の生産額は2兆2,000億元と、中国全体の約5分の1を占める。

12月25日付「21世紀経済報道」は業界関係者の指摘として、「中国電子の深セン市への本社移転は、改革が深化しつつあることの重要な表徴だ。市場の自由度が高い地域に移転することは、市場機能の発揮や中央国有企業の実力強化にもつながる」と、移転を評価する声を伝えている。その一方で、「深セン市への移転後は、同社は経営モデルや企業文化など各方面におけるチャレンジ(挑戦)に直面する可能性がある。今後の業績や長期的な発展計画、有効な評価基準の有無などに世間の注目が集まる中で、同社の経営モデルの転換・変革への決意が試される」とも報じている。

(注1)国務院国有資産監督管理委員会が中国政府を代表して、出資者としての権限を行使する国有企業

(注2)中国で経済活動に従事する会社や、非会社法人、パートナーシップ企業、外国法人の支店など。

(梁梓園)

(中国)

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