中国車載電池用部材メーカーが相次いで欧州へ進出

(中国、欧州)

上海発

2021年12月21日

電気自動車(EV)に搭載するリチウムイオン電池(以下、LIB)の需要が世界的に拡大を続けている中、主原材料の正極材、電解液などを生産する中国企業は、欧州を中心に積極的に海外展開を進めている。

江蘇国泰国際集団は2021年12月14日、傘下子会社を通じてポーランドにあるLIB用電解液工場の生産能力を増強すると発表した。現地には既に年産4万トン規模の電解液工場を整備しており、間もなく稼働の予定だが、同社は新たに1億7,969万ドルを投じ、年産26万トンの第2工場を建設する。工場の敷地面積は約13万6,700平方メートルで、工期は24カ月を予定。

同社は、中国で最も早くLIB用電解液の開発・生産を手掛けた企業の1つ。同社は、今回のポーランドでの生産能力増強について、(1)中国における電解液市場の競争激化に伴う収益性の低下を受けた新規市場開拓、(2)競争相手の同業他社も欧州でのビジネス拡大を進めていること、などを理由に挙げた。

同業他社の動きとしては、深セン新宙邦科技がポーランドとオランダで、広州天賜高新材料がチェコで電解液工場を建設しているほか、寧徳時代新能源科技(CATL)や遠景動力(エンビジョンAESC)、韓国のLG化学やサムスンSDI、SKイノベーションなどの電池大手メーカーも相次いで欧州に進出している。

そのほか、LIB用正極材メーカーの中偉新材料は12月14日、フィンランドの資源会社フィニッシュ・ミネラルズ・グループ(FMG)と現地で三元系正極材(NCM)の主要原料である前駆体の生産に乗り出すと発表した。中偉新材料が60%、FMGが40%を出資する合弁会社を設立し、年産最大12万トンの前駆体工場を整備する。第1期では約2億ユーロを投じ、年産2万トン規模の工場を2024年に稼働させる計画だ。

(劉元森)

(中国、欧州)

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