ECB、2022年3月末で緊急購入プログラム終了、債券・国債の購入プログラムは増額
(EU、ユーロ圏)
デュッセルドルフ発
2021年12月17日
欧州中央銀行(ECB)は12月16日、ドイツ・フランクフルトで開催した政策理事会後の記者会見で、新型コロナウイルス緊急対策として打ち出した資産購入プログラム「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」を通じた購入を2022年3月末に終了すると発表(ECBプレスリリース)した。2022年第1四半期(1~3月)は2021年第4四半期(10~12月)よりも低いペースで継続する。一方、PEPPを通じて購入し保有する債券・国債の償還後の再投資期間については、これまでの2023年末から、少なくとも2024年末まで延長するとした。また、PEPPの再投資を柔軟に行うため、ギリシャ国債の購入も考えられると言及した。
ユーロシステムによる債券・国債の購入プログラム(APP:asset purchase programme)については、毎月の購入規模を現在の200億ユーロから2022年第2四半期(4~6月)に400億ユーロ、第3四半期(7~9月)に300億ユーロに一時的に拡大し、2022年10月から200億ユーロ規模の購入を継続する。これまでと同様、資産購入については政策金利の緩和効果を高めるために、主要金利の引き上げ開始前まで継続する。APPの下で購入し保有する債券・国債の再投資については、主要政策金利の引き上げ開始以降も必要な限り続ける方針をあらためて示した。
また、これまでと同様、政策金利(主要リファイナンス・オペ金利)を0.00%、限界貸付ファシリティー金利(オーバーナイト貸し出し、翌日返済)を0.25%、預金ファシリティー金利をマイナス0.50%にそれぞれ据え置いた。
クリスティーヌ・ラガルドECB総裁は記者会見で、経済予測におけるリスクの均衡を評価した一方、新たな新型コロナ変異株の拡大を含む最近のパンデミックの悪化が経済成長の足かせとなる可能性があるとした。また、エネルギー価格の今後の推移や、製造業などの供給上の制約がインフレ率を押し上げるリスクとなる一方、2022年中には正常化すると予想されると指摘した。
ユーロ圏内の経済成長予測をわずかに修正
記者会見に合わせて発表したユーロ圏に関するECBスタッフマクロ経済予測では、2021年の実質GDP成長率を前回(2021年9月)予測値の5.0%から5.1%にわずかに上方修正した(添付資料表参照)。2022年については4.6%から4.2%、2023年については2.1%から2.9%にそれぞれ修正した。また、2024年は新たに1.6%と予測した。消費者物価指数上昇率については、2021年は前回予測の2.2%から2.6%に上方修正し、2022年は1.7%から3.2%に大幅に上方修正。2023年は1.5%から1.8%に上方修正し、2024年は1.8%との予測を示した。
(ベアナデット・マイヤー、作山直樹)
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