11月の就業者数、前月比36万6,100人増、新型コロナ対策の制限緩和で急回復

(オーストラリア)

シドニー発

2021年12月17日

オーストラリア統計局(ABS)は12月16日、11月の雇用統計を発表し、就業者数(季節調整値)が前月から36万6,100人増加したことを明らかにした。失業者数は6万9,400人減少し、失業率は0.6ポイント低下して4.6%となった。ニューサウスウェールズ(NSW)州やビクトリア(VIC)州で新型コロナウイルス対策の制限措置が緩和されたことから、労働市場が急速に回復した。

就業者数は、フルタイム労働者が12万8,300人増、パートタイム労働者が23万7,800人増とどちらも増加し、前月比2.9%増の1,317万7,300人となった。月間総労働時間は4.5%増の18億100万時間と大きく増加した。労働参加率は1.4ポイント上昇の66.1%、不完全雇用率は2.0ポイント低下の7.5%と、どちらも改善した。また、労働力の未活用率は2.6ポイント低下して12.1%となり、2012年8月以来の最低水準を記録した。

失業率を州別にみると、制限措置が緩和された首都特別地域(2.8ポイント改善の3.8%)やVIC州(0.9ポイント改善の4.7%)、NSW州(0.8ポイント改善の4.6%)で大きく改善したほか、南オーストラリア州(0.7ポイント改善の4.6%)、クイーンズランド州(0.4ポイント改善の4.8%)、西オーストラリア州(0.1ポイント改善の3.8%)でも改善が見られた。一方、タスマニア州は横ばいの5.1%、北部準州は0.5ポイント悪化の4.4%だった。

ABSは「制限措置が課されている間も雇用が維持されていたため、多くの労働者が緩和後すぐに仕事に復帰できたことが今回の急速な回復につながった」と分析した。また、ジョシュ・フライデンバーグ財務相は「就業者数は、新型コロナ感染が拡大し始めた2020年3月時点よりも18万人多く、過去最高値を記録した」と述べ、今回の結果を歓迎した。

連邦政府、最新の経済見通し発表

フライデンバーグ財務相は同日、2021/2022年度(2021年7月~2022年6月)の中間経済・財政見通しを発表し、失業率は2022年半ばまでに4.5%まで改善するとの見通しを示した。また、GDP成長率は2021年に4.5%、2022年には4.25%になると予測した。

(住裕美)

(オーストラリア)

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