米ニューヨーク市、労働許可を持つ市民に自治体の選挙権付与へ

(米国)

ニューヨーク発

2021年12月14日

米国ニューヨーク市で12月9日、市民権を持たず労働許可のある市の住民に、2023年1月9日から自治体の選挙権を与える法案が可決された。

この法律は市で選挙権が与えられる者に関して、米国の選挙法で投票権を有する者として示されている条件外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのうち、「米国籍者である」こと以外の条件の全てに該当するとともに、永住権を含む法的な労働許可を持ち、市内に30日以上居住している者と定義している。対象は約80万人とされている。

自治体の選挙権を与えられることにより、対象者は市長や区長、市の会計検査官、市議会議員などへの投票が可能となる。州と連邦政府の選挙権は与えられないが、自治体の予備選挙に参加するために党派を登録することが認められる。対象者は2022年12月9日から登録が可能となる。

ニューヨーク市のビル・デブラシオ市長は12月12日、フォックス・ニュースに対し、「この件に関しては、複雑な気持ちが入り混ざっている。重大な法的疑問が絡んでいると思われるが、市議会の決定は重んじている」とし、「もちろんこの件も重要だが、今はオミクロン株を含む新型コロナウイルスに打ち勝つことに集中している」と述べた。法案は市長の署名がなくても、可決から30日が経過すれば成立する。

また、「ニューヨーク・タイムズ」紙によると、エリック・アダムス次期市長は、永住権取得者に選挙権を与える法案に関しては、これまで可決を要請し、これからも支持し続けるが、永住権取得者以外で市民権を持たない者に選挙権を与えることに関しては疑問を持っているとした。同氏の広報担当者は、アダムス次期市長は就任後に法案を再調査するとした。

(吉田奈津絵)

(米国)

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