トルドー・カナダ首相、米EV税額控除案への対応策提示

(カナダ、米国)

トロント発

2021年12月24日

カナダのジャスティン・トルドー首相は12月13日、米国がカナダ製電気自動車(EV)をジョー・バイデン米大統領の提案する税額控除制度(2021年9月16日記事参照)の対象とすることを保証するならば、カナダのEVインセンティブを米国の制度と「整合」させる用意があると明らかにした。

トルドー首相は、記者団から「11月に行われたホワイトハウスでの会談で、カナダ製EVを米国の税控除の対象とすることを提案したのか、もしそうならば、ホワイトハウス関係者はその考えを受け入れたのか」という質問を受け、「カナダと米国は50年以上にわたってともに自動車生産を行ってきた。両国のサプライチェーンは深く統合されており、これまでのやり方はカナダ人にとっても米国人にとっても良いものだった。そのため、米国産車だけを対象とした(米国の)EV税控除案がカナダにとって良くないのは当然だが、米国にとっても良くないということを理解してもらおうとしている。その1つが、両国のインセンティブを一致させ、一方だけが不当に有利になるようなことがないようにすることで、現在協議を進めているところだ」と説明した。

トルドー首相の説明に先駆け、カナダのクリスティア・フリーランド副首相兼財務相と、メアリー・エング国際貿易・輸出振興・中小企業・経済開発相は10日、米国上院幹部や主要委員会リーダーへ向けて、バイデン大統領の税額控除案はカナダ製EVに34%の関税をかけることに相当し、カナダ・米国・メキシコ協定(CUSMA)の条項に違反しており、案が成立すれば、報復関税の発動とCUSMAにおける酪農関連の貿易に関する譲歩を撤回すると書簡を送付して警告していた(カナディアン・プレス12月10日)。

(飯田洋子)

(カナダ、米国)

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