パリ市、電動キックボードの最高速度を時速10キロに制限

(フランス)

パリ発

2021年12月03日

フランスのパリ市は11月25日、「パリ市内におけるシェアリングサービスの電動キックボードの最高速度を時速10キロに制限する」と発表した。自転車専用レーンなど一部の幹線は例外的に制限速度を時速20キロとし、12月中旬までに実施する。

同市は、シェアリングサービスの電動キックボードについて、6月30日からパリ市中心地で人通りの多い十数カ所の区域における最高速度を時速10キロに制限し、11月15日からその対象区域を662カ所に拡大していた。この措置に伴い、シェアリングサービス業者は、電動キックボードが時速制限区域に入るとGPSの位置確認により自動的に速度が制限されるシステムを導入していた。同市は、状況は改善したものの、まだ十分ではないと判断し、市内全域に速度制限を適用した。

現在、パリ市内で電動キックボードのシェアリングサービスの提供を認可されているのは、オランダのDott、米国のLime、ドイツのTierの3社。2020年9月から、各社5,000台を限度に運用を認可されているが、電動キックボードによる事故が多発している。事故の報告件数は2020年が375件、2021年にはこれまで298件が報告され、329人がけが、2人が死亡している。パリ市は、交通安全および車道や歩道にあふれているモビリティ関連機器に対処するため規制強化に取り組んでいる。

例えば、電動スクーター(バイク型の二輪車)では、2021年12月13日にシェアリングサービスの入札を開始し、2022年9月から認可業者を現在の5社から2~3社に縮減した上で、5年間の認可を与える計画だ。現在は、フランスのCityscoot、スペインのCooltra、Lime、スペインのYego、フランスのTroopyの5社が認可され、合計約7,000台のスクーターを運用しており、2022年初頭には9,000台に増加する見込みだった。しかし、同計画により2022~2023年に各社の運用台数を1,500~2,500台として合計で7,500台に、2024~2027年には同1,500~3,000台とし、合計で最大9,000台に抑えるとしている。

パリ市は、ほかにも2021年8月30日付で市内での車両走行の制限速度を原則時速30キロとする新たな規制を施行(2021年9月6日記事参照)するなど、同市内におけるモータリゼーションを変革させている。

(奥山直子)

(フランス)

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