第3四半期のGDP成長率は前期比マイナス1.9%

(オーストラリア)

シドニー発

2021年12月02日

オーストラリア統計局(ABS)は12月1日、2021年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率が前期比マイナス1.9%だったと発表した(添付資料表1参照)。新型コロナウイルスのデルタ型変異株による市中感染が拡大したニューサウスウェールズ州やビクトリア州、首都特別地域で外出制限措置が長期化し、家計支出が大きく減少したことが影響した。前年同期比では3.9%と堅調だった。

需要項目別の実質GDPを前期比でみると、民間最終消費支出が4.8%減と大幅に減少した。一方、新型コロナウイルス対策関連の支出が増加したことから、政府最終消費支出は3.6%増となった。財貨・サービスの輸出入は、石炭や液化天然ガス(LNG)、肉製品などの需要が高く、輸出は1.2%増だったが、世界的なサプライチェーンの混乱や内需の落ち込みを反映して、輸入は4.0%減となった。

産業別にみると、制限措置の影響によって宿泊・飲食サービス業(前期比26.4%減)が大きく落ち込んだほか、卸売業(5.4%減)、小売業(3.4%減)、運輸・郵便・倉庫業(3.2%減)などが減少した(添付資料表2参照)。オーストラリアの主要産業である鉱業は、石油・ガス(6.3%増)、石炭(3.4%増)が大きく伸びた一方、鉄鉱石(0.5%減)は減少した。

ジョシュ・フライデンバーグ財務相は「今回の結果によって、ロックダウンによる経済的コストの甚大さをあらためて確認した」と述べ、オミクロン型変異株への懸念はあるものの、ロックダウンは行わない方針を強調した。また、「制限措置が緩和され、10月の小売売上高が前月比4.9%増と急増するなど、オーストラリア経済は力強く回復している」と述べた。

(住裕美)

(オーストラリア)

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