自動車販売は引き続き低水準、コロナ濃厚接触による事業閉鎖も、米シカゴ連銀ベージュブック

(米国)

シカゴ発

2021年12月07日

米国連邦準備制度理事会(FRB)が12月1日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注1)の中で、米国中西部の一部地域(注2)を管轄するシカゴ連銀は、10月から11月初旬にかけての同地域における経済活動について、緩やかに(moderately)向上したものの、労働力や資材の供給不足、新型コロナウイルスの拡大が、引き続き景気拡大の足かせになっていると報告した。

同地域の経済活動を分野ごとにみると、雇用に関しては、緩やかなペースで(at a moderate pace)増加した。熟練、非熟練を問わず、労働者を見つけるのが困難な状況が続いており、要因として育児や健康上の安全性への懸念などが挙げられたほか、ワクチン接種を避けるために仕事を辞めた者もいるとの報告もみられた。また、新型コロナウイルス濃厚接触により労働者が隔離され、事業を閉鎖したとの報告もあった。

個人消費は、控えめに(modestly)増加した。レジャーおよびホスピタリティ関連の支出は、ホテルを中心に減少し、特にコンベンションの中止の影響を受けた地域では減少した。小型自動車の販売台数は、在庫が極めて少ない状態が続いたため、ほとんど変化がなかった。

企業支出は、緩やかに(moderately)増加した。小売店の在庫はサプライチェーンの問題により多くの分野で低水準にとどまっており、2022年後半まで続くとみられている。製造業では、販売在庫は若干増加したものの依然として逼迫しており、広範な原材料が不足した。

製造業の活動は、控えめに(modestly)増加したが、未完了の受注が多く、労働力や物流の問題により生産増を妨げられているとの報告が多くみられた。自動車生産台数は、マイクロチップなどの部品不足により低水準にとどまった。

農業分野に関しては、トウモロコシと大豆の収穫量が予想を上回ったため、所得見込みが向上した。また、燃料、肥料、種子の価格上昇を懸念し、農家は通常より早く次年度分を購入しているとの報告がみられた。

個々の調査対象項目ごとのポイントは添付資料参照。

(注1)連邦公開市場委員会(FOMC)の開催に先立ち、年8回公表されており、銀行からの報告や、ビジネス関係者などの声を基にまとめたもの。

(注2)アイオワ、イリノイ北部、インディアナ北部、ウィスコンシン南部、ミシガン南部。

(小林大祐)

(米国)

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