米小売製品主要輸入港の輸入コンテナ量、2021年は過去最高に達する見通し

(米国)

ニューヨーク発

2021年12月10日

全米小売業協会(NRF)と物流コンサルタント会社のハケット・アソシエイツが発表した「グローバル・ポート・トラッカー」(12月8日)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、米国の小売製品の主要輸入港(注)における年間コンテナ輸入量は、新型コロナウイルスによるサプライチェーンの混乱にもかかわらず、過去最高の水準と伸び率に達すると見込まれている。

発表によると、2021年の年間コンテナ輸入量は前年比18.3%増の2,600万TEU(20フィートコンテナ換算)と予測しており、NRFが2002年に輸入量の調査を開始して以来、過去最高水準を記録すると見込んでいる。これまでのコンテナ輸入量の最高は、2020年の2,200万TEUで、伸び率の最高は、2009年金融危機からの回復期だった2010年の前年比16.7%増だった。

NRFのバイス・プレジデント(サプライチェーン・税関担当)のジョナサン・ゴールド氏は「(新型コロナウイルスの影響により)サプライチェーンのあらゆる段階で問題が発生し、消費者需要が引き続き旺盛なことから、かつてないほどの混乱が生じているが、それと同時に貨物の量は増え、成長もかつてないほどに加速している」と述べた。また、「荷降ろしされていない船や未配送のコンテナはまだまだあるものの、今年はサプライチェーンに携わるすべての人々がこれらの課題を克服するために残業をしてきた」と関係者の協力を評価し、物流の混乱は継続しているものの、年末の消費需要を満たせるとみている。

また、NRFは12月3日に発表した月次報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、2021年の年末商戦の小売売上高が前年比11.5%程度増加すると予測しており、過去最高の売上高を記録する見通しを示している。同協会は10月時点で、小売売上高を前年同期比8.5~10.5%増の8,434億~8,590億ドルになると見込んでいたが(2021年10月29日記事参照)、足元の堅調な消費動向を踏まえて上方修正している。

なお、年初来からの輸入コンテナ量は前年比で2桁台の伸びを示したものの、月次ベースでは前年比1桁台の伸びに落ち着いており、少なくとも2022年第1四半期まではこの傾向が続くと予想されている。先行きについて、ハケット・アソシエイツの創設者、ベン・ハケット氏は、年末年始が終われば、(前年同期比で)2桁台を記録していた輸入コンテナ量の伸び率は、落ち着いてくるだろうと見込んでいる。

(注)主要輸入港には、米国西海岸のロサンゼルス/ロングビーチ、オークランド、シアトル、タコマ、東海岸のニューヨーク/ニュージャージー、バージニア港、チャールストン、サバンナ、エバーグレーズ港、マイアミ、ジャクソンビル、メキシコ湾岸のヒューストンの各港が含まれる。

(樫葉さくら)

(米国)

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