米食品小売り大手クローガー、新型コロナワクチン未接種従業員は有給休暇制度の対象外に

(米国)

シカゴ発

2021年12月20日

米国オハイオ州シンシナティを拠点とする食品小売り大手クローガーは12月14日、新型コロナウイルスワクチン未接種の従業員に対する福利厚生の一部を廃止することを明らかにした。クローガーは約47万人の従業員を抱え、米国35州に店舗を展開しており、1日当たり900万人の顧客にサービスを提供している。

クローガーはパンデミック発生直後の2020年初頭には、新型コロナウイルスに感染した従業員に対し、最長で2週間の有給休暇の取得を認めていたが、今回の方針転換によりワクチン未接種の従業員はこの制度の対象外となる。また、未接種の従業員には、会社で加入している医療保険について毎月50ドルの上乗せ料金が課されることになるという。これらの変更は2022年1月1日から適用される予定だ。なお、時間給の従業員や団体協約が適用される従業員は適用の対象外で、ワクチン未接種に関して医療上や宗教上の理由がある場合も適用しないとしている。

クローガーの広報担当者は「より健康で安全な職場環境を確保することを目的に、規約を改定し、パンデミックの次のフェーズを乗り切りたい」と述べている。同社はワクチンを接種した従業員に対して100ドルを支給するとしており、引き続き接種を奨励する方針としている。

米国では小売業界の人手不足が深刻で、労働力確保のため従業員が嫌う制度変更を避ける傾向にある中で、今回のクローガーの方針転換の影響が注目される。

(藤本富士王)

(米国)

ビジネス短信 85783bb4480391b6