第3四半期の実質GDP成長率は前期比0.7%に減速

(ハンガリー)

ブダペスト発

2021年12月13日

ハンガリー中央統計局(KSH)は12月1日、2021年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率(季節調整済み)を前期比0.7%、前年同期比6.1%と発表した(添付資料表1参照)。第2四半期(4~6月)の急成長(前期比2.0%、前年同期比17.8%)に比べると減速するかたちとなった。

需要項目別にみると、最終家計消費支出が前期比0.7%増と微増だった一方、最終政府消費支出は2.6%増となった。総固定資本形成の伸び率は前期より鈍化し、1.3%だった。建設投資は過去最高水準となったが、機械・設備投資は前期より若干減少したことが要因となった。外需は、夏季における観光業の回復によりサービス輸出が増加したものの、サプライチェーン混乱の影響を受け、輸出全体は0.8%減となった。輸入は1.2%増で、貿易収支は2,920億フォリント(約1,022億円、1フォリント=約0.35円)の赤字になった。

産業別にみると、農林水産業が前期比4.8%減、鉱工業が2.7%減(うち製造業は2.8%減)、建設業は0.3%減で、成長減速の要因となった(添付資料表2参照)。鉱工業生産データをみると、長らく産業成長の原動力となってきた輸送用機器製造業が世界的な半導体不足の影響を受け、第3四半期の生産額は前期比20.8%減だった。国内の自動車メーカー3社(スズキ、アウディ、メルセデス・ベンツ)とも、半導体の供給逼迫に合わせて生産調整を余儀なくされており、半導体の供給問題は今後数カ月にわたって自動車産業を悩ませることが予想される。一方、サービス業は2.2%増と回復傾向にある。内訳をみると、情報通信が3.0%増、運輸・倉庫が2.8%増、2020年秋の新型コロナウイルス感染拡大による閉鎖で打撃を受けた芸術・娯楽が2.6%増と牽引した。

2021年の第3四半期におけるGDPは、「新型コロナ禍」前の2019年第3四半期と比較すると1.5%上回った。2021年第1~3四半期の累積(季節調整済み)では、前年同期比6.8%増だった。

バルガ・ミハーイ財務相は11月4日、ハンガリー保険会社協会(MABISZ)主催の会議において、政府は2021年の実質GDP成長率予測をこれまでの7~7.5%から6.8%に下方修正した、と述べた。その理由として、エネルギー価格の上昇、インフレ圧力、新型コロナウイルス感染拡大第4波の影響などを挙げた。また2022年については、2021年11月29日に開催された国会の経済委員会で、政府は5%以上の成長を見込んでいると述べた。なお、OECDやIMFなどの国際機関は、2021年のハンガリーのGDP成長率を7%前後またはそれ以上と予測している(添付資料表3参照)。

(バラジ・ラウラ)

(ハンガリー)

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