イラン核合意再建のための間接協議が再開

(イラン、中国、ロシア、米国、英国、フランス)

テヘラン発

2021年12月01日

2021年6月から中断していたイラン核合意「包括的共同行動計画(JCPOA)」再建のための合同委員会が11月29日、約5カ月ぶりにウィーンで開催された。

イランのイブラーヒーム・ライーシー大統領は同29日、フランスのエマニュエル・マクロン大統領と2国間関係や同委員会について電話会談を行い、ウィーンへの包括的なチームの派遣は、同委員会に対するイランの真剣な意志の表れだとした。また、フランスに対して、同委員会で議論を主導し、結論を出すための努力を他国と協力して行うよう求めた〔11月30日付イスラーム共和国通信(IRNA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕。

ホセイン・アミール・アブドゥラヒヤーン外相は同29日にコメントを発表。今回の交渉の目的はJCPOAの完全かつ効果的な実施と、イランと各国の貿易関係の正常化、経済協力の推進であるべきとし、(米国の一方的な核合意離脱のような)過去の苦い経験の再発を防ぐための保証が提示されなければ、米国がJCPOAに戻る意味がないとした。また、交渉の機会は永久に開いている窓ではないとし、さらに、イランは核合意以外の問題については一切交渉しないとした(11月29日付IRNA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

さらに同外相は、アントニオ・グテーレス国連事務総長との電話会談で、イランは誠意と真剣さをもってウィーンでの会談に参加し、良い合意を達成しようとしていると述べた(11月30日付IRNA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

イランのハティーブザーデ外務報道官は、11月29日の定例会見で、イランの野心を阻止するために協力する必要性があるとする内容の記事を、英国とイスラエルの外相が連名で「テレグラフ」紙に寄稿したことについて、合同委員会の直前にこのような記事が発表されたことは、特定の欧州の国が制裁解除のために必要な意思を持っていないことを示しているとして批判した(11月29日付IRNA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

イラン側の交渉責任者であるアリー・バーゲリー・カーニ外務次官は初回の委員会後、ロシアと中国を含む数カ国がイランの見解を支持したとして、初回の委員会は建設的なものだったとしつつも、委員会では「永続的」な合意に達するために、イランの基準が考慮されるべきと強調した(11月29日付IRNA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

11月29日付のタスニム通信や「ケイハン」紙などのイランの保守系メディアは、交渉の事実関係や政府高官のコメントとともに、米国は早急にイランに対する制裁を解除すべきとする記事を掲載している。

(鈴木隆之、マティン・バリネジャド)

(イラン、中国、ロシア、米国、英国、フランス)

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