米国で歴史的規模の竜巻、ケンタッキー州など被害や支援策が明らかに

(米国)

ニューヨーク発

2021年12月14日

米国のジョー・バイデン大統領は12月11日、米南部から中西部で10日から11日にかけて発生した竜巻の被災地救済のため、特に被害の大きかったケンタッキー州では緊急事態が発生していることを宣言外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、国土安全保障省下にある連邦緊急事態管理庁(FEMA)に対して、被害地域の対応努力を支援するよう指示した(2021年12月13日記事参照)。同宣言により、FEMAは独自の裁量で緊急事態の影響を緩和するために必要な機器とリソースを特定して提供することが許可される。また、被害が甚大だった同州コールドウェル、フルトン、グレイブス、ホプキンス、マーシャル、ミューレンバーグ、テイラー、ウォーレンの各郡については、被害を受けた個人や事業主に対する連邦資金の提供が可能となる(応募方法など詳細は州政府ホームページを参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

米国国立気象局の予備調査によると、竜巻はアーカンソー州北東部で発生し、ミシシッピ州やテネシー州北西部を通過した後、10日午後9時前(米国中部標準時)にケンタッキー州西部に到達した。最大風速は時速158~206マイル(約254~332キロ)で、「歴史的長さ」となる220マイル(約354キロ)以上も地上を移動した。竜巻の規模を評定する尺度の「改良藤田スケール(EF)」では、小さくともEF3(6段階中3番目に大きな規模)と分類されている。テネシー州中部では4人が死亡したほか、4つの竜巻が発生して特に被害の大きかったケンタッキー州では西部グレイブス郡メイフィールド市を中心に1,000戸が倒壊。州政府によると死亡者数は少なくとも74人で、行方不明者は109人に上り、さらにその数は増加するとみられている。

ケンタッキー州のアンディ・ベシア州知事は13日の記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで被災地の現状を説明し、復興のため州兵を少なくとも300人配備し、州運輸局とエネルギー環境局のスタッフががれき撤去に当たっていると述べた。また、州立公園に仮設住宅を2週間以上設置して被災者を受け入れるほか、「西部ケンタッキー竜巻復興基金(Team Western Kentucky Tornado Relief Fund)」を設立し、葬儀費用として被害者の遺族に5,000ドルを提供するなど、支援に充てると発表した(そのほか、州政府による支援の詳細、基金への寄付などに関しては州政府ホームページを参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

同州には自動車産業を中心に約200社の日系企業が事業拠点を構えている。ケンタッキー日米協会のデビッド・カーペンター会長は「週末から西部の日系企業にコンタクトを試みて被害状況を確認しているが、通信回線の不通や停電で連絡がままならないケースも多い。発生当初よりも状況は改善したが、現在でも約3万世帯が停電している。引き続きジェトロとも協力して被害状況の把握に努めたい」と述べている。

(大原典子)

(米国)

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