バス・トラック用の水素ステーションが稼働

(オーストリア)

ウィーン発

2021年12月16日

オーストリア・ウィーンの公共公社ウィーン・エネルギー、ウィーナー・ネッツェ(エネルギー供給企業)、ウィーナー・リニエンの3社は12月9日、市内交通の脱炭素化を進めるために、ウィーン北東部郊外でバスとトラック専用の水素ステーションを稼働させた。公共交通機関のウィーナー・リニエンは2022年1月10日に、現代自動車の水素バス「エレク・シティー」を利用した試験運転を開始する予定だ。電動バスと比べて、水素バスは航続距離が長く、坂のある路線で有利とされている。そのため、電動バスは平たんで短い市内中心地の路線、水素バスは坂のある郊外の長い路線でそれぞれ使用される計画だ。試験運転期間中は、バスの利用は無料となる。

水素ステーションは、ウィーナー・リニエンのバスだけではなく、民間企業のトラックやバスも利用できる。エネルギー企業のウィーン・エネルギーのミハエル・シュトレーブル代表取締役会長は「私たちはこれによって鶏が先か卵が先かのような問題を解決しようとしている。水素ステーションによって、交通機関や運輸会社が環境にやさしいエネルギーに乗り換えることを簡単にするために不可欠のインフラを整える」と述べた。

ウィーン・エネルギー、ウィーナー・ネッツェ、ウィーナー・リニエンの3社が2021年春に発表した水素戦略によると、ウィーンは2030年までにオーストリア東部の水素ハブになることを目指している。水素の製造、供給、貯蔵、使用の全てを3社の傘下でできることも強みだ。ウィーン・エネルギーが2023年のグリーン水素製造開始に向け、ウィーン東南部で建設を予定している電気分解装置の構内では、既に第2の水素ステーションが計画中だ。建設開始は2022年後半に予定されている。水素バスの試験運転が成功した場合、2024年までに10台の水素バスが通常営業で使用される予定になっている。

写真 水素バスと水素ステーション(ウィーン・エネルギー提供)

水素バスと水素ステーション(ウィーン・エネルギー提供)

写真 水素バス(ウィーン・エネルギー提供)

水素バス(ウィーン・エネルギー提供)

写真 水素ディスペンサー(ウィーン・エネルギー提供)

水素ディスペンサー(ウィーン・エネルギー提供)

(エッカート・デアシュミット)

(オーストリア)

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