発電事業が拡大するシルダリヤ州、ジザク州自動車産業には民間の新しい動き

(ウズベキスタン、日本)

欧州ロシアCIS課

2021年12月28日

ウズベキスタン中央部に位置し、カザフスタンやタジキスタンと国境を接するシルダリヤ州PDFファイル(331KB)ジザク州PDFファイル(333KB)。このあたりは典型的な大陸性気候の農業地帯だが、両州にはともに工業型と医薬品製造型の自由経済区(FEZ)がある。ジェトロとウズベキスタン投資貿易省は12月23日、ウズベキスタン・シルダリヤ州・ジザク州経済・投資ウェビナーを共催した。

ジェトロ・タシケント事務所の髙橋淳所長はシルダリヤ州について、a.名目域内総生産(GRP)の42%が農業で特にメロンが有名、b.大型火力・水力発電所があり、最近ではガス火力発電所の新設案件が進んでいる、c.外国投資は発電、送電、繊維、農業が中心、d.FEZは工業型のシルダリヤと医薬品に特化したシルダリヤ・ファルムがある、と述べた。

ウズベキスタンの電力事情について髙橋所長は、急激な経済自由化で設備投資が相次ぎ、電力供給が需要に追いついておらず、政府は2025年までガス火力発電の増強で対応し、2025年以降は民間資本を活用して再生可能エネルギーを積極的に導入する方針だ、と述べた。発電所新設事業には、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、トルコなどが積極的に参入している。

シルダリヤ州のダニヤル・マディリモフ副知事は、同州の発電所は年間3,127メガワット(MW)の発電能力を持ち、ウズベキスタンが必要とする電力の3分の1を供給しており、今後4年間で2つの発電所(合計1,720MW)を立ち上げる予定だ、と語った。

ウズベキスタンで事業を展開するサウジアラビアの発電事業大手アクア・パワーのアタヌ・ダス執行役員は、UAEのドバイからこのウェビナーに参加した。ウズベキスタンについて、将来性のある市場の1つで、国際金融機関が関与する事業も多く、政府の支援も手厚いと評価した。同社が建設中の火力発電所には日本製ガスタービンを設置する予定で、「日本企業との協力を積極的に求めている」と述べた。

ジザク州について髙橋所長は、経済の主力はGRPの56%を占める農業で、工業ではジザクFEZに入居する民間資本100%のADMジザクに注目していると述べた。同社は現在、主要構成部品を車体に組み付けるセミノックダウン方式で自動車を年間1万台生産しているが、2023年には製造工程の全てを行うコンプリートノックダウン方式へ移行する計画だ、と説明した。

ジザク州のチムール・ウラズマトフ投資貿易局長は、a.ジザクFEZでは2013年以降30件、総額4億2,380万ドルの事業を実施し、そのうち海外投資家による事業規模は1億8,000万ドル、b.2017年に設立されたゾミンファームでは、当州特有な自然環境の中で原料の薬草が栽培され、医薬品が製造されている、と述べた。

写真 (左から)シルダリヤ州のダニヤル・マディリモフ副知事、 アクア・パワーのアタヌ・ダス執行役員、ジザク州投資貿易局のチムール・ウラズマトフ局長、 ジェトロ・タシケント事務所の髙橋淳所長(ジェトロ撮影)

(左から)シルダリヤ州のダニヤル・マディリモフ副知事、 アクア・パワーのアタヌ・ダス執行役員、ジザク州投資貿易局のチムール・ウラズマトフ局長、 ジェトロ・タシケント事務所の髙橋淳所長(ジェトロ撮影)

(今津恵保)

(ウズベキスタン、日本)

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