リー首相、新型コロナ・オミクロン株対応はブースター接種がカギ

(シンガポール)

シンガポール発

2021年12月14日

シンガポールのリー・シェンロン首相は12月13日、新型コロナウイルスの新たな変異株であるオミクロン株への対応について、ワクチンの追加接種(ブースター接種)がカギになると強調した。リー首相は「ワクチン接種とブースター接種により、新型コロナウイルスに対応するのに今はより強固な立場にある」と述べた。同国では10日時点で確認されたオミクロン株の感染者は、南アフリカ共和国からの渡航者やチャンギ空港の職員など合計8人。

シンガポールでは11日時点で、2回のワクチン接種を完了したのは人口の87%で、ブースター接種が30%。オン・イエクン保健相は11月20日に、12月末までにブースター接種率を50%に引き上げる目標を示していた(2021年11月22日記事参照)。新型コロナウイルスの政府タスクフォースは12月10日、ワクチン接種対象を現行の12歳以上から、5~11歳へ年内にも拡大すると発表した。保健省管轄下のヘルスサイエンス庁は同日、ファイザー・ビオンテック製のワクチンを5~11歳の子どもに使用することを承認した。5~11歳向けのワクチン投与量は12歳以上の接種量の約3分の1に相当する1回10マイクログラムで、1回目と2回目の接種の間隔を21日以上空ける必要がある。

さらに、保健省は12月14日から、ブースター接種の対象を18~29歳で2回目の接種を5カ月前に終えた人に拡大した。オン保健相は11日に自身のフェイスブックで、12月から2022年1月の間に約200万回分のワクチンを投与する見通しを示している。

13日の新規感染者は339人(15人の海外からの渡航者を含む)と、最も国内感染者が多かった10月27日の5,324人(同12人)から大きく減少した。同日の集中治療室病床の利用率は12月13日時点で46.9%と、10月27日の79.8%から低下した。リー首相は演説の中で、過去3カ月間に大きく増加した新規感染の勢いが軟化し、「われわれの医療システムを守り、死亡率を低く抑えることができた」と語った。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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