11月の乗用車販売、過去7年で最低水準に

(インド)

ベンガルール発

2021年12月14日

インド自動車工業会(SIAM)は12月10日、11月の自動車統計(出荷ベース)を発表した。国内販売台数は、乗用車〔多目的車(UV)とバンを含む〕が前年同月比18.6%減の21万5,626台だった(添付資料表1参照)。世界的な半導体不足により、自動車販売が活発化する祝祭シーズンの11月でも巻き返しを図れず、11月単月としては過去7年で最低の販売台数となった。一方、2021年4~11月期の販売台数は、前年同期比25.7%増の182万9,693台だった。

SIAMのラジェシュ・メノン事務局長はプレスリリースで「自動車業界は世界的な半導体不足により引き続き逆風に直面している。新型コロナウイルスの変異株『オミクロン株』の脅威が高まる中、業界は積極的に従業員の安全を確保し、サプライチェーンの一時的な障害が起きないか注視していく」と述べた。

乗用車のうち、一般乗用車が前年同月比32.7%減と最も落ち込みが大きい。11月単月のメーカー別販売をみると(添付資料表2参照)、首位のマルチ・スズキは19.2%減の10万9,726台、シェアは50.9%だった。韓国の現代は24.2%減の3万7,001台、起亜自動車は32.4%減の1万4,214台、地場のマヒンドラ&マヒンドラは6.8%増の1万9,458台を販売した。日系メーカーでは、トヨタ・キルロスカが52.8%増の1万3,002台、日産が2.6倍の2,651台と前年同月比で大きく販売台数を伸ばしたが、ホンダは45.4%減の5,457台と減少した。

車種別の販売台数上位は、スズキの「スウィフト」「ワゴンR」「セレリオ」などコンパクトモデル(計5万7,019台)、同ミニモデルの「アルト」「エスプレッソ」(計1万7,473台)、現代の「オーラ」「i20」「i10」などのコンパクトモデル(計1万4,560台)だった。多目的車(UV)では、マヒンドラ&マヒンドラの「ボレロ」など(計1万2,628台)、スズキの「ジプシー」など(計1万760台)が売れ筋となった。なお、前年同月比で販売台数を伸ばした日系メーカーのトヨタ・キルロスカ、日産ともに、UVタイプの車種が販売増に貢献しており、トヨタは「イノーバクリスタ」(計6,300台、前年同月比3.9倍)、日産は「マグナイト」(計2,292台、前年同月比135.8倍)の人気が高かった。

11月単月の二輪車販売は105万616台で、前年同月比34.4%の減少となり、過去11年で最悪の販売台数となった(添付資料表1、3参照)。主要部門のオートバイは31.8%減の69万9,949台、スクーターは38.9%減の30万6,899台だった。三輪車販売は6.6%減の2万2,471台、4~11月期の販売は35.8%増の14万9,666台となった。ホンダは12月2日、電動三輪タクシー(リキシャ)向けのバッテリーシェアリングサービス事業を行う現地法人ホンダパワーパックエナジーインディアをインド南部ベンガルールに設立しており、小型モビリティーの電動化を促進していく予定だ(2021年12月9日記事参照)。

乗用車、二輪車、三輪車の11月単月の販売総数は、前年同月比31.8%減の128万8,759台だった。また、4~11月期の販売総数は、前年同期比1.0%減の1,108万9,266台となった。

(倉谷咲輝)

(インド)

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