ブルガリアで連立政権による新内閣が発足

(ブルガリア)

ウィーン発

2021年12月21日

11月14日の議会選挙(2021年11月26日記事参照)を経て、第1党になった反汚職を掲げる新党「私たちは変化を続ける(PP)」のキリル・ペトコフ党首は組閣を進め、12月13日にブルガリア議会で首相として選出された。PPのほかに、左派の「ブルガリア社会党(BSP)」、リベラルの「民主主義的ブルガリア(DB)」、ポピュリストの「There is Such a People(ITN)」の3党からなる連立内閣も同日承認された。連立与党は、定数240の議席のうち134議席を維持している。

ペトコフ内閣は21人からなり、PPは首相のほかに、副首相兼財務相、副首相、教育・科学相、内務相、防衛相、保健相、運輸・通信相、イノベーション・成長相、文化相の9つのポストを占めている。BSPは副首相兼経済産業相を含む4つ、DBは副首相兼環境・水道相を含む3つ、ITNは副首相兼地域開発・公共事業相を含む4つのポストを占めている。従来の経済省は、経済産業省とイノベーション・成長省に分けられた(添付資料表参照)。

ペトコフ首相は、1980年にブルガリア南部のプロフディフに生まれ、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学卒業後にハーバード大学でMBAを取得。カナダの食料品大手マッカイン・フードで経営企画を経験し、経済界出身と報じられている。2021年5月にはステファン・ヤネフ(現政権で防衛相)暫定政権で経済相に就任。同年9月にはハーバード大学の同級生のアセン・バシレフ氏(現政権で副首相兼財務相)と共に、新党「私たちは変化を続ける(PP)」を立ち上げた。

国民の新政権への期待は大きい

ジェトロが12月17日に行った、ウィーン比較経済研究所のブルガリア専門家であるルーメン・ドブリンスキー氏への取材よると、同氏のコメント(要約)は以下のとおり。

ブルガリア国民の期待は大きいが、新政権が左派から右派までの多様な政党からなるため、現実政治では「最小公分母」の政策が多くなると思われる。大いに期待されている汚職撲滅は連立与党4党の共通目標のため、好ましい変化が予想できる。司法制度改革も共通目標だが、実現はより難しいとみられる。一方、経済政策と外交政策(特に北マケドニア問題)には、大きな変化が期待できない。

(ブラディミール・カネフ、エッカート・デアシュミット)

(ブルガリア)

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