タミル・ナドゥ州が「フィンテック政策2021」を発表

(インド)

チェンナイ発

2021年12月08日

インド南部のタミル・ナドゥ(TN)州は11月23日、「フィンテック政策2021PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を発表した。本政策は、2025年12月までを対象期間とし、次の3つの目標を設定している。

  • フィンテック企業の成長において、インドの主要な州になる。
  • 世界レベルのイノベーションハブ・研究所を持つフィンテック企業のために、100万平方フィート(約9万2,900平方メートル、1平方フィート=約0.0929平方メートル)のワーキングスペースをフィンテックシティとして州内に整備する。
  • TN州内の起業家・中小企業・スタートアップ企業を支援するため、フィンテックのスキルセンターを立ち上げる。

「フィンテック政策2021」について、M.K.スターリン州首相は「2025年までに、TN州をフィンテック企業の国際的なハブにしたい」と抱負を語っている(「タイムズ・オブ・インディア」紙2021年11月24日)。本政策の主なインセンティブは、新設のフィンテック・スタートアップ企業に対する支援と、フィンテック企業に投資する投資家への支援の両面からなる。一方で、大規模フィンテック企業の誘致も目指している。なお、TN州は本政策の公表に先立ち、11月19日にフィンテック運営委員会を設置している。

具体的なインセンティブ(注)として、TN州において、2020年4月以降に操業を開始し、一定の認証を受けたフィンテック・スタートアップ企業は、運営費用の75%補助金支給、宣伝費用の50%補助金支給、州の物品サービス税(SGST)100%還付などの恩恵を受けられる。また、大規模フィンテック企業に対する3年以内のインセンティブ適用拡大や、大規模フィンテック企業に対する50%移転費用補助金支給もある。さらに、上場費用の100%補助金支給などによる、フィンテック企業に投資する投資家へのインセンティブも複数ある。TN州は、州内の均衡した発展を目指しており、TN州が発展を目指す地域においては、インセンティブの上限が高く設定されている。

また、フィンテック・スタートアップ企業の初期段階の資金繰りを支援する基金が、複数運用される予定だ。さらに、チェンナイ市内にフィンテックシティの建設が計画されている。製造業のみならず、フィンテック分野でのTN州の発展が期待される。

(注)インセンティブについて、本記事は要点のみを記載しているため、詳細については「フィンテック政策2021PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を確認されたい。

(浜崎翔太)

(インド)

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