浙江省で感染拡大、ロックダウン措置で日系企業に影響も

(中国)

上海発

2021年12月20日

中国・浙江省で新型コロナウイルスの感染者が急増している。12月5日に寧波市、7日には紹興市と杭州市で相次いで感染が確認され、19日午後4時までの累計感染者数は475例(無症状感染者1例を含む)となった。

各地域の感染状況は、紹興市が372例、寧波市が74例、杭州市が29例。うち、紹興市では、12月15日午前8時から上虞区内の5地域が高リスク地区に指定された。

また、寧波市鎮海区、紹興市上虞区では12月17日時点で封閉隔離措置(ロックダウン)がとられている。区内外の移動が厳しく制限されているほか、一部の生活必需品を販売する小売店を除き、感染症対策と関連のない営業活動は全て停止している。上虞区では、11日午後1時から区内の高速道路、水路などの出入り口が全面的に封鎖されたほか、一切外出ができない地区が設定された。また、上虞区内の他地区でも、住民に対して日付が書かれたカードが配布され、2日に1回のみ自宅からの外出が認められている。

感染の広がりを受け、浙江省では3市の1,650万人を対象にPCR検査が実施され、既に1,619万人が陰性と確認されたが、今後も継続的に検査が行われる見通し。12月16日時点で、浙江省全体では62万人が自宅または集中隔離施設で隔離されている。

さらに、3市から浙江省外への移動に際しては、48時間以内に取得したPCR検査陰性証明が求められるほか、紹興市では原則、レストランでの店内飲食が認められず、持ち帰りのみの対応となっている。

日系企業の操業継続にも懸念が

ロックダウン措置がとられている寧波市鎮海区、紹興市上虞区では、原則として生活必需品と防疫必需品以外を取り扱う全ての事業所や工場に対して、操業停止の指示が出されている。寧波市鎮海区に多くの取引先を持つ日系企業によると、10を超える取引先が全て操業停止となっているため、部材の調達ができなくなる懸念が高まっているという。物流面では、コンテナ取扱量が世界3位の寧波港に入港するトラック運転手に対して、グリーンの健康コードと48時間以内に取得したPCR検査の陰性証明の提示を求めている。寧波市鎮海区の物流業界の関係者は「鎮海が封鎖された後、埠頭(ふとう)でのコンテナの箱詰めと運搬ができなくなった。今できることは指示を待つことだ」と話している(「人民資詢」12月10日)。また、寧波市から到着するトラック運転手に対して14日間の隔離を求める都市が出始めており、今後も混乱が懸念される。

(船橋憲)

(中国)

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