11月の自動車生産・輸出は好調続くも、販売は低調

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年12月13日

アルゼンチン自動車製造業者協会(ADEFA)は12月3日、11月の自動車(トラック、バスを除く)の生産台数および輸出台数を発表した。生産台数は前月比13.4%増、前年同月比42.7%増の4万6,490台で、輸出台数は前月比25.3%増、前年同月比2.8倍の3万2,513台だった(添付資料「図1 自動車生産台数の推移」、「図2 自動車輸出台数の推移」参照)。輸出は、全体の7割近くを占めるブラジル向けのほか、チリ、中米向けが好調だった(添付資料表1参照)。

ADEFAは、2021年11月の生産台数が前月比で増加した要因として、稼働日が前月比で3日多かったことを挙げた。また、今後も自動車産業が生産、輸出を拡大させるためには、2021年8月に国会に提出された「自動車・自動車部品およびバリューチェーン振興に関する法案」の年内成立が重要、と述べている。同法案は、自動車、自動車部品製造会社による新たな生産計画に対して税制優遇措置を講じるとともに、モビリティ研究所を設置し、国の自動車政策の立案、自動車産業の課題分析を行うことを柱としている。政府は、2041年にガソリン車の新車販売を禁止し、電気自動車などの国内生産に恩典を与える「持続可能なモビリティ法案」の国会への提出に向けて準備を進めているが、2021年11月30日付の現地紙「アンビト」(電子版)によると、自動車産業からは懸念の声が上がっているという。同法案が中国の自動車メーカーを利する可能性があることや、ガソリン車の販売禁止が、既に国内で生産している自動車メーカーの今後の投資の判断を難しくするためだ。政府は、自動車産業との協議を継続している。

11月の自動車の国内販売は2021年6月以来の前月比プラスとなったが微増にとどまった。前年同月比では大幅に減少した。アルゼンチン自動車販売代理店協会(ACARA) によると、11月の自動車国内販売(新車登録)台数(トラック・バスを含む)は、前月比0.6%増、前年同月比19.9%減の2万7,293台だった(添付資料図3参照)。ブランド別、車種名別の販売台数は添付資料表2のとおり。ACARAによると、国内市場の需要は旺盛だが、国内の資本取引規制による輸入台数の減少により国内の需要を満たすことができない状態が続いている。過去2カ月の輸入許可台数は1カ月当たりで9,000台から1万台にとどまったという。結果として、販売台数上位の車種は国産車が増えている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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