フィアラ新内閣が発足、非常事態宣言の終了を決定

(チェコ)

プラハ発

2021年12月21日

チェコのミロシュ・ゼマン大統領は12月17日、ペトル・フィアラ新首相の提案に基づき、2つの政党連合からなる新内閣を任命した。10月8~9日に実施された下院選挙の結果、市民民主党(ODS)、キリスト教民主連合=チェコスロバキア人民党(KDU=CSL)、TOP 09の中道右派3党の連合「SPOLU(共に、の意)」と、海賊党および市町村長・無所属候補者連合(STAN)の中道右派2党の連合は、5党連立での組閣に合意していた(2021年10月12日記事参照)。

ゼマン大統領は当初、単独政党で第1党となったANO 2011の党首、アンドレイ・バビシュ前首相の続投を希望する旨を明らかにしていた。しかし、大統領は11月5日のインタビューで、支持を得られなかったバビシュ氏にはその意思がないとして断念したことを明かし、11月28日にODSのフィアラ党首を首相に任命、組閣を委任した。憲法の規程では、下院は新内閣の任命から30日以内に信任投票を行い、過半数の賛成で可決する。5党は200議席のうち108議席を占めていることから、下院での信任を得られる見通しだ。

フィアラ新首相(57歳)は、ブルノのマサリク大学卒。歴史および政治学の博士号を有し、2004年から2011年まで同大学の学長を務めていた。2012年5月に教育相に就任し、2013年6月まで務めた。2013年10月からは下院議員を務めており、2014年1月にODS党首に選出された。

フィアラ首相は12月17日の第1回閣僚会議後の記者会見で、2022年国家予算とエネルギー価格高騰を緊急課題として、担当大臣に早急な対応を依頼したと述べた。

また、新型コロナウイルス対策に関しては、現在発令されている非常事態宣言について、下院に延長を提案しない旨を決定した。フィアラ首相は「状況を注視し、悪化した場合には、内閣は非常事態宣言に関する協議に戻る用意がある。われわれは現状を把握しており、また外国の状況、オミクロン株をめぐる状況も注視している。その上で必要な場合には早急に対処する」と説明している。非常事態宣言は、バビシュ前内閣が11月26日から12月25日までの30日間を対象に発令したもので、同宣言を基に、飲食店の夜間営業禁止、イベント、文化活動などにおける集会人数の制限が定められている(2021年11月29日記事参照)。

(中川圭子)

(チェコ)

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